インタビュー

若手医師の育成にも力を注ぎ、甲状腺医療に貢献していきたい

大学教授時代から続く隈病院との深いかかわり

私は京都大学を卒業し、一度市中病院での勤務を経験した後、京都大学大学院に進学しました。大学院を卒業後は関西医科大学に在籍。2015年まで第二内科の教授を務めさせていただきました。
 
関西医科大学と隈病院は、当時より患者さんの紹介や共同研究などを通じて関わりがありました。隈病院は研究にも大変力を入れており、遺伝子解析を病院の費用で行うなど熱心に取り組んでいました。甲状腺専門病院なので症例数も多く、研究のための甲状腺組織をもらうために隈病院に通っていたほどです。
 
退官を迎えた際、数ある病院のなかから隈病院を選択した理由は、上記のような研究に熱心に取り組む姿勢や、臨床と学術のどちらのレベルも高いこと。そして何より、今までずっと専門としてきた甲状腺についての経験をもっとも生かすことができる場所だと考えたからでした。

入職後は活動力の高さを実感

以前から隈病院は、実地臨床のみならず甲状腺学会や内分泌学会で毎回多くの演題を発表しており、活動的な病院という印象でした。実際に入職してみると、医師を始め、検査技師、看護師など、職員全員が「患者さんのために」という意識が高く、非常に雰囲気のよい病院であると感じます。また、検査技師や看護師のレベルも高く、常にサポートしてもらえる環境なので、スムーズな診療が可能です。
 
医師個人に目を向けても個々の活動力の高さには目を見張るものがあります。一人ひとりが自立した視点を持ち、甲状腺分野のスペシャリストになろうという気概に溢れ、日々研鑽を積む毎日。そして、患者さんに予期せぬ問題が起きたときは、それぞれが磨いてきた力を結集して、全力でその解決に当たっているのです。
 
このような環境に身を置くことで、私自身、大きな刺激をもらっています。

勉強会や意見交換会から知識を深める毎日

院内ではカンファレンスを積極的に実施しており、特に画像研究会、術前カンファレンス、症例検討会をそれぞれ週一度実施。内科医の私が触れる機会が少なかった外科分野については、このカンファレンスで学んでいます。また、各々の医師が興味のある論文を持ってきて意見交換をする勉強会も毎週あり、日々多くの知識を得ることができる環境といえるでしょう。
 
さらに、隈病院では学会や論文発表を活発に行っており、病院全体でよりよい発表ができるよう医師同士で意見交換を実施しています。学会や論文発表を行う前に、発表内容を医師全員に共有し、第三者の目線から感想や意見をもらうことで、新しい気付きや間違いを発見することができます。

若手医師の育成にも力を注いでいる

若手の指導にも力を入れており、内科では内科医全員で若手医師の指導にあたっています。わからないことがあれば、すぐに周囲の医師に相談することができる環境も魅力でしょう。しっかりとした指導体制と共に、多くの臨床や研究の経験を積むことができるため、2年間隈病院で勉強をすれば、甲状腺の内科分野に関して一通りのことは必ず網羅できると思います。

今後も甲状腺医療に貢献していきたい

甲状腺の内科的治療法については、まだまだ未解明な部分が多くあります。なかでも、バセドウ病や橋本病など自己免疫が関係している分野に関して、発症の機序や混本的治療法についてなどはいまだに解明されていません。しかし、未解明な部分があるからこそ甲状腺疾患は面白く、研究のしがいがある分野です。
 
残念ながら、大学で甲状腺を専門とする教授が減少していることなどから、甲状腺について専門的に勉強できる場所は減少しているように感じます。このような状況の中、将来の甲状腺医療を担う若手医師を育成することも我々甲状腺を専門とする医師の大切な役割でしょう。今後も臨床・研究を進めながら、甲状腺医療に貢献していきたいと考えています。

このインタビューのドクター

内科

学術顧問
西川 光重医師

京都大学医学部卒業。大学病院、市中病院での勤務を経て京都大学大学院に進学。医学博士取得後は関西医科大学に在籍し、主に甲状腺、内分泌代謝疾患の臨床と研究に従事。この間、カナダのトロント大学で甲状腺に関する研究を深める。2015年まで関西医科大学の教授を務め、その後、甲状腺診療の経験を生かしたいと隈病院に入職。学術顧問として臨床・研究に取り組みながら、若手医師の育成にも尽力している。アメリカ核医学会や日本甲状腺学会などからの受賞歴あり。日本甲状腺学会会長も務めた。関西医科大学 名誉教授。

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