インタビュー

教育を通して、医療の未来に貢献していく

ジェネラリスト外科医としての11年間

私は東北大学を卒業した後、大崎市民病院の外科で3年間の外科研修を行い、消化器外科や血管外科をはじめ、さまざまな外科分野のトレーニングを受けました。もちろん甲状腺の手術も行っていましたが、当時は特にそれを専門とすることは考えておらず、いわゆる一般外科医としてキャリアを歩んでいたのです。
 
研修が終わった後は東北大学の外科医局に入局し、同時に大学院にも入学。東北大学の外科では「肝移植班」という班に所属し、肝移植のときに助手として手術に入るほか、豚の膵臓移植の研究を行っていました。その研究で学位を取得しました。また、「移植甲状腺班」の一員として、甲状腺の手術にも入っていました。そして、外科の専門医を取得し、一通り外科医としての素養を身に付けた医師9年目のときに石巻赤十字病院に移り、3年間にわたり幅広い領域の診療に携わることになります。

甲状腺のスペシャリストを目指し、隈病院へ

石巻赤十字病院では、外科医として、さらには全国から集まる研修医の指導者としても充実した日々を送っていました。しかし、実際の現場で、血管外科や乳腺外科など専門領域を突き詰めている医師と仕事をするうちに、私も1つの領域を深く追求するという「強み」を徐々に意識するようになり、ジェネラリスト外科医からスペシャリスト外科医を志すようになりました。
 
そこで、もともと携わっていた甲状腺領域を専門にしたいと考え、さまざまな甲状腺専門病院の見学に行きました。そのなかで症例数や研究論文数の多さもさることながら、学会での宮内院長をはじめとする隈病院の医師の「勢い」、的確で洗練され、宮内院長の論理的な考えに基づいた手術手技、カンファレンスでの活発な討議に感銘を受け、隈病院で修練を受けることを決意しました。

多くの手術経験がもたらす、的確さとスピード

以前勤めていた病院でも甲状腺の手術を担当していたため、大体の手術手技は分かっているつもりでした。しかし、実際に隈病院の先生方の手術を見てみると、より的確でスピーディーな手術を行っており、非常に感動しました。このような技術を身につけることが出来るのは、手術経験を多く積める隈病院ならではの特徴だと感じたことを覚えています。
 
甲状腺の領域のなかでも一人ひとりの先生がさらに詳しい専門領域をしっかりと持っており、ここで研鑽を積めばどこの施設に行っても活躍できる甲状腺の専門家になれると感じました。
 
また、研究から得たエビデンスが、しっかりと臨床に結びついているという点も印象的でした。隈病院では、毎週カンファレンスを開き、さまざまなエビデンスから患者さんの治療方針を話し合います。今まで勤務してきた病院でも、患者さんの治療方針をここまで高いレベルで細かく話し合う経験はあまりありませんでした。そのため、治療方針を決めるカンファレンスでは新たな知見が得られ非常に勉強になります。また、内科と外科だけでなく、病理診断科や麻酔科も非常にレベルが高く、チームとしての力強さを感じています。

一件一件の手術を丁寧に行うことが重要

私も隈病院に入職してから約2年間で、術者・助手合わせて800例ほどの手術を経験しました。手術を数多く経験することは非常に重要です。しかし、漫然とした気分で手術に臨んでしまうと、流れ作業のようになってしまい、期待するほどのスキルアップは図れません。手術は一例一例が全く別物で、注意しなければならない場所もそれぞれ異なります。そのため、慢心せず一件一件の手術に集中し、丁寧に取り組むことが、上達の近道であると確信しています。

教育機関としての隈病院―若い先生と一緒に切磋琢磨する

隈病院で働く前は総合病院に勤務していたため、多くの研修医の教育に携わりました。研修医の方々が成長していく姿をみることは非常にうれしいですし、医療の未来に貢献しているというやりがいを実感します。隈病院は教育機関としての充実を大きなテーマとして掲げています。今後は、若い先生にもっと来ていただき、切磋琢磨しながら自分自身もともに成長していければと思っています。
 
手術技術の向上は、論文で学ぶだけでは限界があり、実際の手術を見ることがもっとも技術の向上につながります。甲状腺の分野で手術の技術を磨きたい方には、隈病院で手術の経験を積んでほしいと願っています。

このインタビューのドクター

外科

外科 副科長
舛岡 裕雄医師

東北大学医学部を卒業後、市中病院での外科研修を経て、東北大学 第二外科医局に入局。医師9年目のときに石巻赤十字病院に移り、肝臓と甲状腺の班に所属しながら幅広い領域の診療に携わる。その後、甲状腺を専門にするため、隈病院へ。隈病院入職後の約2年間で、術者・助手合わせて800例ほどの手術を行い、甲状腺外科医としての経験を積む。1件1件の手術を大切にし、丁寧な手術を心がけている。また、外科副科長として若手医師の育成にも尽力。

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