バセドウ病の心理的側面

バセドウ病の心理的側面

バセドウ病に伴うことがある精神症状

バセドウ病は精神疾患ではありませんが、甲状腺ホルモンが高値の場合に精神症状をともなうことがあります。まれに精神疾患と誤認されてしまうケースがありますので、バセドウ病の心理的側面を理解することも重要です。ただし甲状腺ホルモン値が正常になっても精神症状が続く場合は、バセドウ病に別の病気が合併していると考えられます。

以下に精神症状を示しますが、これらは甲状腺ホルモンが高値の場合、一部の患者様に生じるものです。

1.感情の変化

感情が不安定で神経過敏になり、不安を感じたり、イライラしたり、リラックスできずに怒りやすくなります。また、音に過敏になったり、びっくりしやすくなったり、理由なく泣いたりすることもあります。

時には、抑うつ状態もみられる一方で、落ち着きがなく、多弁で興奮しやすく、動き回ったりするといった、躁病を思わせるような症状もみられます。日中に本人の活動性が低下することが、躁病との大きな違いで、実際に躁病の診断基準に合致する方は極めてまれです。

2.睡眠障害

寝つきが悪くなり、途中で目覚めたり、悪夢を見たりします。

3.活動性の低下

疲れやすくなり、休息や昼寝をすることが多くなります。何かをしようと家の中をうろついたりしますが、まとまったことを最後までやり遂げることができません。家事など何か用事をしていても、不器用になり、物を落としたり、つまずいたり、転倒したり、ぶつかりやすくなることがあります。

4.知的機能障害

思考が遅くなり集中力の低下がみられます。また、複雑な問題の解決能力も低くなります。そのために、たとえば学校の成績が目立って落ちたり、物忘れをしやすくなったりします。以前は興味を持っていたことへの関心も薄れてきます。

1〜4のような精神症状をご家族の方からみれば、本人が以前よりも怒りっぽくなり、会話が少なくなったり、わがままになったように感じたりします。また、本人が外出を嫌うようになり、ご家族の方は何か変だという印象を持たれることが多いようです。

このような時、甲状腺腫や突眼のようなバセドウ病特有の症状が目立たない場合には、単に本人のわがままや怠けのせいにされたり、あるいは精神疾患と誤認されて、精神科を受診させられるケースも少なくありません。

また、無欲性甲状腺中毒症(a-pathetic thyrotoxicosis)といわれるバセドウ病の一型では、無欲・嗜眠[しみん]・体重減少・抑うつなどの症状的特徴がみられます。このタイプは、従来は高齢者に多いと言われていましたが、若年者の報告もあり、うつ病と間違わないように注意が必要です。

嗜眠[しみん]: 刺激がしないと目が覚めない状態のこと。

バセドウ病とストレスとの関係

バセドウ病の発病に、ストレスが関与するかどうかについては、これまでもさまざまな研究や症例報告がなされてきました。特に、最近の緻密な研究により、発病前過去1年間のストレスの多い出来事の体験が発症に関与しているという報告が、数多く提出されています。

バセドウ病の心理的側面を配慮した診療・面接の重要性

バセドウ病に限らず、どんな病気においても、病気になったこと自体が患者様本人にとっては大きなショックであることは言うまでもありません。当院では、患者様やそのご家族の方との良好な信頼関係を築いていきながら、なによりもバセドウ病の心理的側面に配慮した診療を行っていきたいと考えています。医療相談室やカウンセリング室も設置し、からだとこころの両面からの治療を行えるよう配慮しています。

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