甲状腺濾胞癌

甲状腺濾胞[ろほう]癌

病気の特徴

甲状腺癌のひとつで原因は不明です。症状は甲状腺の中の痛みのないしこりだけで、ゆっくりと発育しますが、大部分は性格がおとなしいものです。また、一部には肺・骨などに転移するものがあります。進行すると反回神経(声帯を動かす神経)や気管に浸潤することがあるといった特徴があります。

診断

血液検査、超音波検査、細胞診などがを行いますが、術前に良性の腫瘍である濾胞腺腫と区別することは殆どできません。

それはどうしてなのかを簡単に説明しておきましょう。濾胞癌の細胞は、私たちの用語でいう“悪人づら”(癌らしい顔)をしていないからです。つまり、癌細胞1個1個の形は、良性の濾胞腺腫の細胞とそっくりなために、細胞診だけで判断するのは困難ともいえます。そこで、最終的な診断は手術で腫瘍全体を摘出した後、病理組織検査で診断します。次のいずれかの所見が確認されれば濾胞癌です。

  • 腫瘍組織の外側に存在するカプセルを腫瘍細胞が破っている
  • 腫瘍組織内の血管の壁を腫瘍細胞が破っている

なお、濾胞癌を疑って手術が考慮されるのは以下のような所見です。

  • 腫瘍が触診で硬く、表面がデコボコで不整の時
  • 細胞診でクラス3以上の時
  • 超音波検査で腫瘍の内部が充実しており、境界のラインがスムーズでなくデコボコの時
  • 経過観察中に腫瘍が大きくなっている時
  • 腫瘍の大きさが4cm以上の時
  • 血液中のサイログロブリンの値が非常に高い時(1000ng/ml 以上の時)

治療

腫瘍を含めた甲状腺の切除術、あるいは甲状腺の全摘術(全て摘出)を行います。肺・骨などに遠隔転移が存在する場合は、甲状腺全摘術を行った後に、放射性ヨウ素内用療法を実施することがあります。手術後の経過は、他の臓器の癌に比較すると良好です。手術後に甲状腺ホルモン剤の服用が必要な時があります。

放射性ヨウ素内用療法・甲状腺ホルモン剤の服用についてくわしくはこちら

また、肺や骨などに転移が出現するケースもありますので、定期的に外来での診察が必要です。その際には血液検査、超音波検査、胸部レントゲン撮影、胸部CT検査などを行っています。手術合併症については、
かすれ声、大声や高い声を出しにくい、出血(まれなケース)など、特に甲状腺全摘の場合には指先のしびれ(低カルシウム血症)が考えられますが、十分に注意して手術を行います。

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