甲状腺髄様癌

甲状腺髄様[ずいよう]癌

甲状腺髄様癌は甲状腺癌の中の約1.5%程度であり、比較的まれな病気ですが、次のような特徴があるので、特別な注意が必要です。

病気の特徴

甲状腺癌の大部分を占める乳頭癌や濾胞癌は、甲状腺ホルモンを作る濾胞細胞からできる癌ですが、髄様癌はカルシトニンというホルモンを分泌するC細胞からできる癌です。

この癌の約2/3はたまたまできた癌(散発性の癌)ですが、約1/3は遺伝性の癌です。遺伝性の場合は血縁者の半分に同じ癌ができる可能性がある常染色体優性遺伝です。この場合には、髄様癌の他に褐色細胞腫(副腎の腫瘍)や副甲状腺機能亢進症を合併したり、分厚い唇や細長い体型などの身体の異常を伴うことがあります。

診断

まず腫瘍に対して、直接針を刺して細胞を採取する細胞診を行います。その結果、髄様癌が疑われる場合には、血液中のカルシトニンやCEAという物質を測定すれば容易に診断できます。
髄様癌と分かったら、褐色細胞腫や副甲状腺の検査、さらには原因になる遺伝子に異常がないかどうかを調べる必要があります。

最近、遺伝性髄様癌にはRETという遺伝子に変異があることが判明しました。血液を少し採れば、DNAに異常があるかどうか検査できます。ご本人が遺伝性髄様癌であると診断された時は、血縁者の方々も、遺伝子に異常がないかどうか検査を受けられることをお勧めします。そうすれば、将来、同じ病気を発症するかがはっきりと分かり、たとえ今は症状がなくとも、早期に治療を受けることができるからです。

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治療

散発性(非遺伝性)の髄様癌は乳頭癌と同様に癌の広がりに応じた範囲を手術で切除します。遺伝性の髄様癌は甲状腺の両側に癌ができるので必ず甲状腺を全て摘出し、リンパ節の郭清をします。褐色細胞腫がある場合には、こちらの手術を先に行わないと危険です。 RET遺伝子診断などで極めて早期に診断された場合、甲状腺は全て摘出しますが、リンパ節郭清は気管周囲のみの小範囲でよいとされています。

なお、乳頭癌や濾胞癌はヨウ素を取り込む性質があり、放射性ヨウ素による治療(アイソトープ療法)ができる場合がありますが、髄様癌にはこのような性質はないのでアイソトープ療法はできません。

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