慢性甲状腺炎(橋本病)

慢性甲状腺炎(橋本病)

病気の特徴

慢性甲状腺炎は、1912年に日本の橋本策(はかる)先生が初めて報告されたもので、橋本病とも呼ばれています。風土的にヨウ素欠乏がない日本においては、この橋本病が甲状腺機能低下症の一番の原因となっています。

しかし、橋本病の患者様のすべてが、甲状腺機能低下症になるわけではありません。生涯、甲状腺機能に異常を認められない患者様や、一時的に甲状腺機能の低下がみられても回復される方も数多くみられます。

橋本病は若い世代から中高年の女性に多いのが特徴で、成人女性の約3〜10%を占めると言われています。

慢性甲状腺炎(橋本病)

原因

自己免疫の異常によりリンパ球が自己の甲状腺組織を破壊して、慢性炎症が生じます。

症状

甲状腺が大きくなります。甲状腺機能が正常の場合には、症状がみられませんが、甲状腺ホルモンが不足してくると、顔や手足のむくみ、寒がり、体重増加など、甲状腺機能低下症の特有の症状がみられます。

治療

甲状腺機能が正常の場合には治療の必要はありません。甲状腺機能低下があれば甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS®)の服用が必要となります。甲状腺機能低下は治る場合もあり、一生内服が必要とは限りません。

チラーヂンS®には副作用はほとんどありません。チラーヂンS®を服用すると約1〜2か月で甲状腺ホルモン値が正常になり、自覚症状がとれます。内服を続ければ健康な方と全く変わらない生活をおくることができます。甲状腺ホルモン値が正常になっても何らかの症状がある時は、甲状腺以外の病気を考える必要があります。

注意すること

  • 海草類を多くとりすぎないようにしましょう。
    普通に食べるのは良いのですが、根昆布療法(根昆布をつけ込んだ水を毎日飲む民間療法)をしたり、イソジンのうがい薬で毎日うがいをするとヨウ素のとりすぎになり、甲状腺機能低下症になることがあります。しかしこの場合は中止すると正常に回復します。
  • 甲状腺が急に大きくなったり(リンパ腫や甲状腺機能低下の可能性があります)、甲状腺の痛みや発熱、動悸、暑がりなどの日頃と異なる症状があればすぐにご来院ください。

橋本病は難病ではなく、自己抗体価(抗Tg抗体、抗TPO抗体)が高くても、全身の臓器に影響はないので心配ありません。甲状腺機能が変化することがありますので、6か月または1年に1度は定期検査を受けてください。

橋本病の患者様が無痛性甲状腺炎後、出産後(出産後甲状腺機能異常症)、インターフェロン治療後などに甲状腺機能低下を示す場合があります。甲状腺機能低下症の症状を感じたら検査を受けてください。

喫煙は橋本病の患者様が甲状腺機能低下症をきたすリスクファクターです。禁煙をお勧めします。

自己免疫の異常が元になって生じる病気のため、膠原病の一種と勘違いされることがありますが、橋本病は膠原病ではありません。また膠原病の合併が多いわけでもありません。(膠原病に橋本病が合併することは多いとされています。)

病気について