甲状腺のその他の疾患

低T3症候群  

重い病気や飢餓状態になると血液中のT3濃度だけが下がり、通常TSHとT4濃度が正常であるという検査結果が出ることがあります。T3濃度が下がっているため甲状腺機能低下症と間違われてしまうことがあり、注意が必要です。この状態はT4からT3への転換が減少することによって生じ、重い病気の時に体のエネルギーを消耗しないための防御反応であると考えられています。

従って甲状腺ホルモンの補充は必要ではなく、逆効果であることもあります(例外もあるとされていますが特殊な状態です)。やせた若い女性で血液中のT3だけが低い場合は神経性食欲不振症が疑われます。その場合はやはり甲状腺ホルモンの補充は必要ありません。

正中頚嚢胞[せいちゅうけいのうほう]

顎下部から甲状腺上部(のどぼとけ付近)の間の正中部(身体の中心線上)に皮膚の下のしこりとして触れます。甲状舌管という胎児期の遺残物が原因で、大きいものや、炎症を繰り返すものは手術の適応になります。成人になってから見つかる例も少なくありません。

出産後甲状腺機能異常症

この病気は、普段は甲状腺機能に異常のない患者様が出産後に甲状腺機能異常を示すというもので、下記の5つに分けられます。

  • 出産後3〜6か月よりバセドウ病を発症するもの
  • 出産後2〜4か月に一過性の甲状腺中毒症を示すもの
  • 出産後1〜3か月に破壊性甲状腺中毒症を示し、引き続いて一過性または永続性甲状腺機能低下症を示すもの
  • 出産後1〜2か月より破壊性甲状腺中毒症を認めずに、一過性甲状腺機能低下症を示すもの
  • 出産後より永続性甲状腺機能低下症を示すもの

多くの場合は出産後甲状腺炎(一過性甲状腺中毒症、一過性甲状腺機能低下症)ですが、一部には出産後バセドウ病となる方もいます。これらは一般妊婦の約5%に起こると言われています。妊婦さん全員にスクリーニング検査を行うべきであると提唱されていますが、今のところは実現されていません。

慢性甲状腺炎と診断されたことがある、あるいはバセドウ病の治療歴がある若い女性には、出産3か月後に甲状腺機能検査を受けることをお勧めします。妊娠中に生理的に抑制されていた免疫系が、出産後にその反動で亢進するために生じると考えられています。

病気について