2015.09.10

宮内院長が国際内分泌外科学会で特別講演

2015年8月23日〜27日にタイのバンコクで開催された国際内分泌外科学会において、当院院長宮内昭が特別講演の一つState of the Art Lectureを行いました。この特別講演演者としてアジアから指名されたのは初めてのことで大変名誉なことです。演題は”Active Surveillance of Papillary Microcarcinoma of the Thyroid: Is it Good?” 「甲状腺微小癌の非手術経過観察:それは適切か?」。

当院では、1993年に現院長の宮内(当時、香川医科大学外科助教授)が低リスク甲状腺微小乳頭癌に対する非手術経過観察を提案し、この提案は前院長 隈寛二や他の医師達の賛同を得ました。よって、同年以降、当院では患者さんに非手術経過観察と手術とを提案し、その内の一つを選んで頂いています。この間、世界中で甲状腺癌が増加し、例えば米国では甲状腺癌が約3倍、韓国ではなんと15倍も増加しました。ただ、増加したのはほとんどが小さい乳頭癌であり、甲状腺癌は増加しましたが、甲状腺癌による死亡は増加していません。これは、超音波検査などの画像検査の普及によって本来あまり問題とならない小さい癌の発見が増加しているためです。このことから、世界でも「低リスクの甲状腺微小癌を発見・手術するのは過剰診断・過剰治療である」と反省の声が挙ってき始めました。

今回の特別講演では、当院における22年間の非手術経過観察の良好な結果を説明しました。また同学会で、当院外科の伊藤康弘医師が微小癌においてどのような場合に気管や反回神経に浸潤するリスクがあるかを分析・報告し、小田瞳医師が手術を選んだ患者さんと経過観察を選んだ患者さんにおける不都合事象の発生率を報告しました。一過性反回神経麻痺、一過性および永続性副甲状腺機能低下症は手術群に明らかに多く、ごく少数ですが永続性反回神経麻痺が手術群にのみ見られました。宮内はこれらの成績も含めて講演し、「甲状腺微小癌の非手術経過観察は明らかに患者さんにとって適切である」と結論しました。宮内の講演が終わると同時に会場内には拍手の渦が巻き起こりました。拍手に対し三度深々と挨拶しましたが、降壇するまでその拍手が鳴り止むことはありませんでした。冥利に尽きる一幕でした。

世界に先駆け22年前から当院で提唱・実践してきたことが、ようやく世界に認められるようになりました。ちなみに、アメリカ甲状腺学会による甲状腺腫瘍取扱いガイドライン改訂版では、当院の経過観察結果および当院の2年後に同様の経過観察を始めた癌研病院の結果が大幅に採用され、微小癌は手術をしない方向に改訂されました。当院での先駆的な取り組みが世界に認められたことは大変誇らしいことです。

院長 宮内 昭
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写真1:State of the Art Lectureをする宮内院長

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写真2:国際内分泌外科学会で発表した伊藤医師(左)、宮内院長(中央)および小田医師(右)

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