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声が出なくなったりしないように

元通りに声が出せるように

普段、ひとが声を出したり、呼吸をしたりするためには、声帯を動かす反回神経という神経が働いています。また大きな声を出したり、高い声で歌ったりするためには、上喉頭神経外枝という別の神経も同時に働いています。甲状腺、副甲状腺の手術では、これらの神経の近くで手術操作を行うため、これらの神経を温存することが、術後元通りの声が出るようになるために非常に重要です。

当院では、これまでもこれらの神経を傷つけないように細心の注意を払いながら、手術を行ってきましたが、神経の温存は必ずしも容易ではありませんでした。しかし2011年から臨床で利用可能となった新しい術中神経モニタリング装置(NIM-Response3.0®)を導入することにより、導入前と比べて、より確実に神経を温存し、安全な手術を施行できるようになりました。特に従来は、手術中に確認が困難であった上喉頭神経外枝をほぼ確実に確認温存できるようになり、術後元通りに声が出せるようになるために寄与しています。

現在当院では、これらの神経を傷つける危険性のある全ての患者様の手術において、この術中神経モニタリング装置を使用することで、術後の声の変化を最小限にとどめるように努めています。

声が出なくなったりしないように(反回神経再建術)

甲状腺癌はしばしば声帯に行っている反回神経を侵すため、声帯麻痺をきたします。手術前に声帯麻痺がない場合でも、手術中に甲状腺癌が反回神経を侵していることが発覚し、神経を切除しなければならなくなる場合もあります。そうすると、もちろん声帯麻痺をきたします。声帯が麻痺すると嗄声(かすれ声)となり、一息でしゃべれる時間が短くなり、誤嚥(飲み物や食べ物が誤って気管に入る)しやすくなります。

当院では約20年前から色々な工夫を重ねて、できるだけ反回神経を再建するように努めてきました。反回神経を再建しても声帯の動きは回復しませんが、声帯の萎縮が回復し、発声時の声帯の緊張も回復するので音声はかなり良好に回復します。また、誤嚥も少なくなります。

これらの手技は、最近国内だけでなく国際的にも認められ始め、当院の宮内院長は講演や教育セミナーを依頼されることが多くなりました。当院を見学された、常に全米で最も優れた病院のひとつに数えられているメイヨークリニックのThompson教授も、この方法を採用されました。