インタビュー

職種を越えて皆が団結。よりよい診療・研究を追求できる環境

隈病院での臨床に魅力を感じ、北海道から神戸へ

私は2012年に北海道大学を卒業後、札幌市内の病院で初期研修を受けました。3年目からは大学の関連病院に出向し、主に一般内科や糖尿病内分泌内科で経験を積みました。その後、大学院卒業を経て隈病院への入職を果たしたのです。
入職前は、甲状腺診療の知識や技術をより身につけたいと思い、インターネットでさまざまな病院の情報収集を行っていました。そのなかで出会ったのが、隈病院のホームページでした。情報が充実していることに加えて、働く医師たちの思いを知ることができ、隈病院で臨床にあたることに強く惹かれたのを覚えています。
その後、実際に見学に訪れ先生方のお話を伺い、甲状腺診療を専門にする病院の中でも、隈病院は特に医師の教育に力を入れているように感じました。また、甲状腺腫瘍(こうじょうせんしゅよう)をはじめ各分野で非常に多くのデータを発信しているほか、外科と合同で週に複数回カンファレンスが行われていることも知り、甲状腺疾患について幅広い知識を身につけられる環境だと思い入職を決意しました。

甲状腺疾患の知識を深め、患者さんの助けになりたい

そもそも私が本格的に内分泌や甲状腺疾患の診療を行うようになったのは、医師になって5年目のことです。それから日々、患者さんの診療に携わるうちに“甲状腺疾患の知識をより深めたい”という思いが強くなっていきました。
外来診療では、患者さんが訴えている症状や検査結果に対する迅速な対応が求められます。病気について事前に調べて来院される患者さんも多く、中には「この病気ではないか」と不安な気持ちを抱えて来院する方もいらっしゃいます。私が甲状腺内科医を目指した1つのきっかけは、このような場面で、自身の経験・知識をもとに患者さんの悩みや不安を解消できたときに大きなやりがいを感じたことです。
また、以前勤務していた国立成育医療研究センター病院 母性内科では、甲状腺疾患の中でも、特に妊娠・出産を考慮しなければならないバセドウ病の診療を経験しました。患者さんご本人はもちろん、お子さんのことも考えて戦略的に治療を行っていく点にやりがいを感じたこともターニングポイントになったといえます。このような経験を経て、甲状腺のことをもっと知りたい、得た知識や技術を人のために役立てたいと思い、甲状腺内科医を目指すようになったのです。
甲状腺診療の魅力は、シンプルでありながら奥深いことだと思います。甲状腺疾患の患者さんには、老若男女さまざまな方がいらっしゃいます。患者さんそれぞれの生活環境やライフステージに合わせた治療を提案していくことが、甲状腺診療の醍醐味だと考えています。

診療科同士の垣根が低いからこそ得られる“生(なま)の”知識

実際に隈病院に入職して感じるのは、スタッフ全員で病院の環境を作り上げようとする意識の高さです。患者さんによりよい診療を提供できるよう、皆が団結している印象があります。
これは入職前におおむねイメージしていたとおりではありましたが、一方、よい意味で期待を裏切られた部分もありました。入職前は、甲状腺疾患を専門とする病院として名高く、有名な医師も在籍しているので、格式高い病院なのではないかとやや心配していました。
しかし実際に働いてみると、医師同士が非常に相談しやすい環境があります。内科や外科だけでなく、どの診療科の先生方もとても話しやすく、これは診療科同士の垣根が低い隈病院ならではだと感じています。
入職後に受けた指導の中でも、特に細胞診検査の技術指導を受けたことが強く印象に残っています。今まで細胞診検査の研修などを受ける機会がなかったので、腫瘍を観察しながら「このような見た目の腫瘍は出血しやすい」など病理診断科の先生がご自身の知識や技術を伝えてくださったときには、教科書では得られない生(なま)の知識を吸収させてもらっていることを実感しました。

診療システムが構築され、メリハリをつけて働ける環境

甲状腺診療を行いやすいシステムが構築されている点も、隈病院の大きな特徴だと思います。診療科同士の風通しがよいために治療に関するコンサルテーションを行いやすいのはもちろんのこと、医師以外の職種でも協力体制がしっかりと築かれているのです。外来のシステムや電子カルテの管理、研究面でのサポートなど、さまざまな部署がより効率的な甲状腺診療のために常にシステムの改良を続けています。隈病院はこの特徴がひときわ顕著であるように思えました。
このような協力体制があるからこそ、ワークライフバランスをしっかり取ることができ、働きやすい環境が整っていると感じます。メリハリをつけて、診療や研究に集中できるのです。私にとって関西に暮らすのは初めての経験ということもあり、余暇の時間には、大阪や京都などいろいろな場所を訪問することも日々のモチベーションにつながっています。

日々の経験と膨大なデータを基に甲状腺診療を究めていきたい

隈病院では、たくさんの甲状腺疾患の患者さんを診る機会があります。日々診療を行うなかで、病気の経過や患者さんの体質から想定できる検査結果など、一定の傾向や自分なりの仮説がみえてくることがあります。診療のデータを基に、これらの仮説を検証し研究を重ねれば、日々の診療に役立てることができ、より多くの患者さんの助けになれるのではないかと思っています。
また現在、私が臨床・研究のテーマとしてもっとも関心を持って取り組んでいるのはバセドウ病です。バセドウ病では、薬の選択肢自体は多くないですが、副作用や効果を総合的に評価しながら今ある薬を使いこなすのは医師の技量によるところが大きいのが現状です。患者さんのライフステージに合わせた治療選択や、病気の知識を患者さんと共有することが重要になります。実際に、隈病院で多数のバセドウ病診療を経験したことが、バセドウ病の初期治療における薬の量を検討した研究につながりました。
より患者さんに合った薬はどれか、病気への理解を深めてもらうにはどのように説明するのが適切かなど、さまざまな点を考えながら、甲状腺診療の代表的疾患ともいえるバセドウ病にこれからも向き合い続け、よりよい診療を追求していきたいです。

このインタビューのドクター

内科

甲状腺内科 糖尿病内分泌内科
鬼頭 健一医師

北海道大学医学部を卒業後、同大学の関連病院で一般内科や糖尿病内分泌内科の臨床に広く携わる。自身の経験・知識をもとに、甲状腺疾患を抱える患者さんの悩みや不安を解消できることに大きなやりがいを感じ、甲状腺内科医を志す。国立成育医療研究センター病院 母性内科での臨床を経て、2022年に北海道大学大学院医学院・医学研究院 免疫・代謝内科学教室を卒業。甲状腺診療の知識や技術をよりいっそう深めるべく、2023年に隈病院に入職。

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