

家族性の甲状腺腫瘍 (かぞくせいのこうじょうせんしゅよう)
甲状腺腫瘍は個人で出るものがほとんどですが、時に家族内の複数の方に見られる場合もあります。家族性の甲状腺腫瘍の原因は食べ物や環境ではなく、遺伝と考えられており、家族性の甲状腺腫瘍は甲状腺内に1個ではなく、多数出現します。そのため手術の時は甲状腺全摘術が必要になります。
その発生率は高くありませんが、家族内に甲状腺腫瘍の方がいる場合、早めに甲状腺の検査(血液検査、レントゲン、超音波検査、細胞診)が必要です。ほかに皮膚のイボ、副甲状腺、乳腺、消化管、副腎などの検査も必要になることがあります。腫瘍がみつかった場合、早期診断早期治療が可能です。
家族性甲状腺腫瘍にはいくつかのタイプがあります。
甲状腺髄様癌(遺伝性)
頻度
この髄様癌のうち約3分の1(39%)が家族性に出現します。家族性の時は、副腎と副甲状腺等にに腫瘍を伴うことがあります。
遺伝の形式
常染色体優性遺伝です。つまり、「親の一方がこの病気の時は子供の50%が同じ病気になる」という確率です。
治療
甲状腺全摘術と頸部リンパ節郭清術を行います。
甲状腺乳頭癌(家族性)
頻度
乳頭癌のうち2〜5%が家族内に出現します。
遺伝の形式
染色体優性遺伝と考えられています。
特徴
甲状腺乳頭癌の中では、比較的若年者に多く、甲状腺の中に癌が多発します。
治療
甲状腺全摘術と頸部リンパ節郭清術を行います。
家族性大腸ポリポーシス
大腸にポリープが多発し、放置しておくと良性腫瘍から大腸癌に進展する病気です。この病気の方にはしばしば甲状腺乳頭癌が多発します。
遺伝の形式
常染色体優性遺伝です。
つまり、「親の一方がこの病気の時は子供の50%が同じ病気になる」という確率です。
治療
家族性大腸ポリポーシスに甲状腺乳頭癌を合併する場合、甲状腺全摘術と頸部リンパ節郭清術を行います。
コーデン病
顔面や首の皮膚のイボ、肺の腫瘍(過誤腫)、乳腺の良性腫瘍、乳癌、消化管(食道、胃、腸)の多発性のポリープ等が出現します。この病気の方には、甲状腺濾胞腺腫、甲状腺濾胞癌が出現します。遺伝の形式は常染色体優性遺伝です。
その他
多発性内分泌腺腫症、Albright-McCune症候群、家族性乳癌などに甲状腺腫瘍が出現することが知られています。

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