2021.08.15

橋本病の治療薬 (はしもとびょうのちりょうやく)

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合成 T4 製剤 レボサイロキシン(商品名:チラーヂン S® )

口から飲んだ T4 製剤の 70~80%が小腸から吸収されます。血清 T3(活性化型甲状腺ホルモン)の 80%は吸収された T4 から変化したものなので甲状腺ホルモンの補充療法は通常、合成 T4 製剤だけで充分です。都合のよいことに体はT4を必要に応じてT3に活性化して利用するので、相当の過剰とならない限り副作用はまれです。さらに T4 は、血中半減期(血液中にあるお薬の濃度が半分になる時のこと)が約 7 日と長いため、1 日 1 回投与とすることが多いですが、たまに飲み忘れた場合や、間違って 2 日分飲んでしまった場合や、週あたり何錠とかいった用法でも血液中の T4 濃度は大体一定となり安定します。逆に内服を中断しても、すぐには血液中の甲状腺ホルモン濃度が下がりません。
T4 製剤は空腹時のほうが可能なら、起床時か、夕食後 2 時間以上たった眠前の空腹時に飲むのが理想的です。 T4 製剤の吸収をさまたげる薬物、サプリメント、飲食物との併用には注意が必要です。特に鉄剤(造血剤)、アルミニウム製剤(胃薬)、コレスチラミン (コレステロールを下げる薬) 、漢方薬などです。これらの薬とは同時には服用せず、数時間あけて、お茶や牛乳などではなく、水で別々に服用してください。忘れたら食事後すぐではなく、空腹時に内服してください。

合成 T3 製剤 リオチロニン(商品名:チロナミン® )

口から飲んだ合成 T3 製剤のほぼ 100%が吸収されます。T3 は速やかに吸収されるため、内服した後の血中濃度は 2~4 時間後にピークに達します。血中半減期は約 1 日と短いため血清 T3 濃度は内服後(の時間によって)比較的速やかに元に戻り、一定ではありません。速効性があるのでそれを期待する場合や、数ヶ月単位での回復が見込まれる一時的な甲状腺機能低下症やそのほか特殊な場合に使うことがあります。

そのほか 一部免疫抑制剤

橋本病は慢性炎症疾患であるため、過去に免疫抑制剤を試したことがありましたが、いずれも上記の補充療法に比べ有害で劣る結果しか残せていません。従って、これを甲状腺機能低下症あるいは慢性甲状腺炎の治療目的で用いることはありません。なお、ほかの免疫疾患の治療目的で投与された場合に、橋本病の大部分で陽性になる TgAb や TPOAb がこれにより陰性化することがしばしば観察されます。しかし、そうであっても、一般的にはエコー上の慢性炎症の改善は乏しく、ホルモンの補充が直ちに不要になることもなく、また、細胞診を行うと(慢性炎症を起こし甲状腺濾胞上皮を壊す細胞傷害性)T 細胞が依然として出ますので、血液検査上一見よくなっているように見えるだけのようです。

サプリメントに要注意

特に海外製品で、やせ薬であったり、甲状腺に言及するサプリメントの中には、甲状腺ホルモンのうち特に問題となる T3 を、成分表示せずに含むものがあるので注意が必要です。
詳しくは、「乾燥甲状腺を使用したダイエットサプリメントについて」をお読みください。

プロトタイプの乾燥甲状腺原末(商品名:チラーヂン末®)について

甲状腺ホルモンを自分で作れなくなった場合には各種ビタミンと同様に外から補う必要があります。歴史的な経緯としても、甲状腺機能低下症に対し、かつては豚や牛の甲状腺を原料とした粉末を治療薬としていた時代があります。しかし、動物の甲状腺を過不足なく最適な量で毎日食べるのは現実的に無理なので、粉末とした薬品を量って内服していましたが、供給・品質が安定しないことと、活性型甲状腺ホルモン T3 の比率が高いため過剰投与による副作用が大きな問題でした。
甲状腺原末のチラーヂン末はここまで紹介した薬で充分となり日本国内ではその使命を終えたため 2014 年から生産終了, 販売中止となっています。

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