2021.07.15

子どもの橋本病 (こどものはしもとびょう)

  • 橋本病
  • 甲状腺の病気の症状
  • 甲状腺ホルモン
  • 首の症状

子どもの橋本病

子どもの橋本病は成人に比べると頻度は低いものの、子どもの甲状腺機能低下症を引き起こす代表的な疾患です。といっても、すべての橋本病が甲状腺機能低下となるわけではありません。当院での以前の研究では、橋本病全体のおよそ 4 分の 3 は甲状腺機能正常で、甲状腺機能の低下を示すのは残りの 4 分の 1 という結果でした。これは子どもでも大人でも割合の差は殆どありません。甲状腺の腫れがあり、血液検査で甲状腺に対する自己抗体(抗 Tg 抗体、抗 TPO 抗体)のいずれかが陽性であるか、あるいは甲状腺の組織にリンパ球の浸潤(慢性の炎症所見)があれば橋本病と診断されますが、甲状腺ホルモンに異常がなければ治療の必要はありません。

子どもの橋本病治療

甲状腺機能の低下が認められた場合、大人であれば、軽度の異常で自覚症状や脂質代謝の異常などがなければすぐに治療を開始する必要はなく、経過をみることが可能です。しかし子どもの場合は、軽度であっても甲状腺ホルモンの補充を開始します。これは、子どもにとって甲状腺ホルモンが身体や精神の発達のために非常に大切なホルモンだからです。成長の過程にある子どもで甲状腺ホルモンの不足が起こると、その程度と期間により、身長の伸びや精神発達の遅延を引き起こすことがあります。そのためたとえ軽度の異常であっても、甲状腺ホルモンが不足しないように治療を開始し、そして維持することが大切なのです。

実際に、子どもの身長の伸びが悪いという理由で検査をして、甲状腺機能低下症が発見されることも度々あります。成長曲線を作成し、もし途中で急に身長ののびが悪くなるようなことがあれば、もしかしたら甲状腺ホルモンの不足があるかもしれません。特に、血縁の方に甲状腺の自己免疫疾患(バセドウ病や橋本病)の方がいらっしゃれば、お子様が同様の疾患に罹患する確率がやや高くなりますので、その成長と発達は少し注意をして見ていただければと思います。

子どもに現れる症状

また、橋本病は「首が腫れている」「検診で甲状腺が腫大していると言われた」ということから見つかることも多い疾患です。特に、思春期頃にこのような指摘が多くなる傾向があります。前述したように橋本病でも多くのケースで甲状腺機能には異常がないため、特に自覚症状がなく、他人や検診での指摘で検査をして発見されるのです。ただ、実際に甲状腺の腫れがあり検査をしても、甲状腺自己抗体などが認められず、結節(できもの)もなく、甲状腺機能が正常な場合もあり、このようなときには「単純性甲状腺腫」と診断されます。特に治療の必要はなく、一時的なものでしばらくすると気にならなくなることもありますが、単純性甲状腺腫では将来橋本病やバセドウ病を発症しやすいともいわれていますので、定期的な経過観察はされた方が良いでしょう。

子供の成長・発達に必要な甲状腺ホルモン

甲状腺ホルモンは、子どもの成長や発達に不可欠です。お子様が橋本病と診断された場合、治療が必要であればきちんと甲状腺ホルモン剤の内服をしていくことが大切です。親御さんはそのことをよく理解し、また可能な限りお子様本人にも治療が大切であることを知ってもらいましょう。きちんと治療をすれば、甲状腺異常のない普通のお子様と同じように成長・発達が可能ですし、少しの遅れが見られても、早期に治療を開始すればある程度の遅れを取り戻すこともできます。身長の伸びの遅れや首の腫れなど、気になることがあればお近くの小児科医や内分泌、甲状腺専門医にご相談ください。