2021.04.01

超音波画像 (エコー画像) で見る甲状腺の病気 (ちょうおんぱがぞう(えこーがぞう)でみるこうじょうせんのびょうき)

  • バセドウ病
  • 橋本病
  • 甲状腺がん
  • 甲状腺ホルモン
  • 首の症状

超音波 (エコー ) とは

超音波検査 (エコー検査 )では、超音波を当てて、体の中で反射した超音波をもとに超音波画像 (エコー画像 )が作られます。それにより甲状腺など体の中の様子を 観察することができます。

詳しい内容は、下記のコンテンツをご参照ください。
 

正常甲状腺 の超音波画像


正常な甲状腺は、周りの筋肉よりも白く (エコーレベルが高く) 見えます。

甲状腺ホルモンの異常を起こす病気の超音波画像

バセドウ病


 


甲状腺全体が腫れて大きくなり、血流が多くなります。
※軽症の場合は正常な甲状腺とほとんど変わらない場合もあります。
 

無痛性甲状腺炎


血液検査ではバセドウ病と同様に甲状腺ホルモンの値が高くなりますが、超音波画像ではバセドウ病と比べて血流が少ないのが特徴です。

慢性甲状腺炎(橋本病)


慢性甲状腺炎(橋本病)甲状腺の表面がデコボコしています。
甲状腺全体が腫れて大きくなります。
甲状腺の内部が黒っぽくなり(エコーレベル低下)、むらがあります(内部不均質)。
※軽症の場合は正常な甲状腺とほとんど変わらない場合もあります。

亜急性甲状腺炎


痛みのある部位が黒く見えます(低エコー域)。

良性腫瘍および腫瘍様病変の超音波画像

腺腫様結節・腺腫様甲状腺腫


形は円形から楕円形で、甲状腺との境界がはっきりしていることが多いです(境界明瞭)。
内部に嚢胞液(超音波画像では黒く見えます)が含まれている場合も多いですが、ほとんど含まれていない場合もあります。
腺腫様結節は多発することも多く、その場合は腺腫様甲状腺腫と呼ばれます。

濾胞腺腫


形は円形から楕円形で、甲状腺との境界がはっきりしていることが多いです(境界明瞭)。
内部は充実性(固体)のことが多いです。
悪性腫瘍の濾胞がんとは区別が難しい場合が多いです。

悪性腫瘍 の超音波画像

乳頭がん


形はいびつ(形状不整)で、甲状腺との境界がはっきりしていません(境界不明瞭)。
内部は黒っぽく(内部エコーレベル低)、点状の白い部分(微細高エコー)があります。
内部は充実性(固体)のことが多いです。

乳頭がんのリンパ節転移


乳頭がんは首のリンパ節(頸部リンパ節)に転移を起こすことが多いです。
正常なリンパ節と比べて、腫れて大きくなったり、白っぽくなったり(エコーレベル上昇)、点状の白い部分が見えたり(微細高エコー)、嚢胞成分(液体)を伴ったりします。
リンパ節転移の有無や部位によって手術術式が異なりますので、手術前に超音波検査でリンパ節を確認することは重要です。

濾胞がん


良性腫瘍の濾胞腺腫とは区別が難しいことが多いです。
一部が突出して見える場合には濾胞がんが疑われます。

髄様がん


内部は黒っぽく(内部エコーレベル低)、やや大きめの白い部分(粗大な高エコー)が見えます。髄様がんに見られる白い部分(高エコー)は、乳頭がんの物と比べて大きめで、よく「牡丹雪(ぼたんゆき)状」と言われています。内部は充実性(固体)のことが多いです。髄様がんは甲状腺内の上側にできることが多く、多発する場合もあります。

未分化がん


大きな腫瘍で、形がいびつ(形状不整)です。内部に丸い白い部分(卵殻状石灰化)が見られることが多く、以前に腫瘍があった痕跡と考えられています(未分化がんは長期間存在した別の腫瘍(乳頭がんや濾胞がん)から変化すると考えられています)。

リンパ腫


形がいびつ(形状不整)で、内部が黒く(内部エコーレベル低)、腫瘍の後ろの方が白っぽく見えます(後方エコー増強)。
 

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