2021.09.30

バセドウ病とは(症状・原因・治療など) (ばせどうびょうとは(しょうじょう・げんいん・ちりょうなど))

  • バセドウ病
  • 甲状腺の病気
  • 甲状腺の病気の症状
  • 甲状腺ホルモン
  • 目の症状

病気の特徴

体の中にできた自己抗体により甲状腺が刺激されて、異常に多い甲状腺ホルモンが作られる病気です。
甲状腺は腫大することが多くあります。甲状腺から過剰に分泌された甲状腺ホルモンによる症状と、バセドウ病眼症や前脛骨粘液水腫などの甲状腺外の症状を特徴とします。甲状腺腫大,頻脈そして眼球突出をMerseburg (メルゼブルグ) の3徴といいます。
ドイツ人の Karl Adolph von Basedowが1840年に報告したためヨーロッパや日本では「バセドウ病」という病名になっていますが、英語圏では1835年に報告したRobert James Gravesの名前をとって「グレーブス病」ということが多いです。
バセドウ病は人間にだけにみられる病気で、すべての年代に認められますが,特に20歳代から40歳代にかけて多くみられ、女性が男性より3~5倍,多いと言われています。

原因

甲状腺には,下垂体から分泌されるTSH(甲状腺刺激ホルモン)の刺激を受け取る受容体(アンテナ),つまりTSH受容体があります. TSHがこの受容体を刺激すると,甲状腺から甲状腺ホルモンが分泌されます.しかし,甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると下垂体からのTSH分泌が抑えられます(ネガティブフィードバック機構).しかしバセドウ病ではTSH受容体に対する抗体,つまりTSH受容体抗体(TRAb,TSAb)が血液中に出現し,この抗体がTSH受容体を刺激し続けるようになり,甲状腺から甲状腺ホルモンの過剰産生が続きます.しかし,このTSH受容体抗体の出現の原因は,いまだ不明です.
 

詳しい内容は、下記のコンテンツをご参照ください。

>>>「バセドウ病の原因」へ

症状

メルゼブルグの3徴候(ドイツ人医師バセドウの診療所開設地Merseburgに因む名前で、古典的なバセドウ病の3つの症状)である、甲状腺の腫大、頻脈、眼球突出の3つの症状がそろえばバセドウ病と言えるのですが、このすべてがそろうとは限りません。
その他、動悸・多汗・体重減少・疲労感・手の震え・息切れなどの症状があります。非常にきつい症状が出ると命に係わる状態に至ることがあります(甲状腺クリーゼ)。


 

検査・診断

典型例は症状だけからも診断がつきますが、病状の程度、確定診断などにはどうしても検査が必要です。
 
1.甲状腺ホルモン(FT4)と甲状腺刺激ホルモン(TSH)の測定
甲状腺機能の把握には、欠かせない血液検査です。
バセドウ病ではFT4が高値、TSHが測定できないくらい低値になります。
 
2.TSH受容体抗体 (TRAb)の測定
これも採血で簡単に測定できます。バセドウ病の99%で陽性となります。
その他、甲状腺に対する抗体(抗Tg抗体、抗TPO抗体)も測定します。
 
3.超音波検査
この検査も欠かせません。甲状腺の大きさ、甲状腺内の血流等で病気の状態を判断します。また、甲状腺の内部に結節(しこり)がないかどうかを検査します。
 
4.摂取率検査
診断をより確実に行うために、当院では原則として放射性ヨウ素摂取率、あるいはテクネシウム摂取率の検査をします。これは体には全く無害な微量の放射性ヨウ素を内服、あるいはテクネシウムを注射し、甲状腺に何%集まるかを検査します。バセドウ病では投与した放射性ヨウ素およびテクネシウムがたくさん甲状腺に集まりますが、無痛性甲状腺炎など甲状腺が破壊されている病気では、ほとんど甲状腺に集まらないのでより確実に区別がつきます。
 
詳しい内容は、下記のコンテンツをご参照ください。

>>>「バセドウ病の検査」へ

治療

バセドウ病の治療はまず、薬を使って血液中の甲状腺ホルモンを低下させ、正常にもどします。この甲状腺ホルモンを下げることにより、自然に甲状腺機能亢進症状も軽快します。

甲状腺ホルモンの産生を抑える抗甲状腺薬を毎日決められた量内服していれば、徐々に甲状腺ホルモン産出量も下がってきます。甲状腺機能亢進症状は内服直後に良くなる事はありませんが2週間後くらいから少しずつ良くなりはじめ、普通は1〜2か月もすればかなり良くなります。


詳しい内容は、下記のコンテンツをご参照ください。

>>>「抗甲状腺薬について」へ


この間一番大事なことは副作用に注意することです。どんな薬もそうですが、抗甲状腺薬にも副作用があります。特に重要な副作用として、白血球が突然減って体の抵抗力が弱り、40度くらいの高熱や喉の痛みが出ることが稀にあります。放置していれば白血球は下がったままで大変危険な状態になります。38度以上の高熱がでれば,ただちに抗甲状腺薬を中止の上,必ず病院を受診してください。その他、蕁麻疹などの薬疹や肝障害がありますが、早期に適切な処置をすれば改善します。そのため、定期的な副作用チェックが必要です。
 

詳しい内容は、下記のコンテンツをご参照ください。

>>>「抗甲状腺薬の副作用について」へ


甲状腺ホルモンの量が正常まで下がって症状が落ち着けば、運動制限も特になく、健康な時と同じような生活が過ごせますが、抗甲状腺薬の内服は欠かせません。もう完治したと思い薬の内服を中止したり、不規則な内服になったりしがちですが、ここで油断すると、しばらくして最初の機能亢進症状に逆戻りする事が多いのです。定期的に検査を行いながら抗甲状腺薬の内服量を調節していきますが、ご自分の判断で調節しないことが大事です。

甲状腺機能が安定すれば薬の量も減り、通院の間隔も2~3か月に一度くらいでよくなりますが、抗甲状腺薬による治療は2年位かかります。特に抗甲状腺薬を中止する時期は難しいですが、ここでも担当医と良く相談しながら中止時期を決定することが大事です。

2年間内服しても抗甲状腺薬の中止が出来ない時は、そのまま継続して内服していくか、あるいは別の治療法に変更することがあります。

その治療法の一つに放射性ヨウ素を使ったアイソトープ療法という治療があります。この治療は外来で受けることができ、効果も確実で安価な治療です。毎日内服する抗甲状腺薬とは違い、予約日に1回放射性ヨウ素のカプセルを内服するだけで、一応治療は終了します。甲状腺の大きさによっては複数回の内服が必要になる事があります。内服すると放射性ヨウ素が甲状腺に集まり、甲状腺の組織を破壊し、甲状腺が小さくなります。その結果、甲状腺ホルモンを産生する力が弱まります。この治療後多くの方は甲状腺機能低下症になります。その場合は甲状腺ホルモンを甲状腺ホルモン薬で補わなければいけませんが、甲状腺機能低下症の治療に使う甲状腺ホルモン薬には全く副作用はありません。検査も年に2回でよく、抗甲状腺薬の治療よりはるかに楽になる事が多いです。
 
甲状腺が大きい場合や薬が効かない場合、腫瘍が合併している場合などには手術が行われることもあります。

 

合併症について

合わせて、下記のコンテンツもご参照ください。

>>>「バセドウ病・橋本病の合併症について​」へ