2021.03.15

エコーガイド下穿刺吸引細胞診 (えこーがいどかせんしきゅういんさいぼうしん)

  • 検査
  • 甲状腺がん
穿刺吸引細胞診は、超音波検査などで甲状腺にしこりが見つかった場合、そのしこりに細い針を刺して細胞をとり、顕微鏡でみて良性か悪性かを判断する検査です。痛みは、腕からの採血とほとんど同じです。ほかの臓器に行う針生検よりも侵襲が少なく、短時間で行うことができ、合併症が起こる可能性が低いです。細胞診の結果によって治療方針が決められるので、とても重要な検査です。
 

病理診断科の医師が穿刺吸引を担当

細胞診は適切な標本作製法と細胞観察法が求められ、穿刺・塗抹手技の善し悪しが診断結果を左右します。当院では、主に病理診断科の医師が穿刺吸引を担当しています。病理医が担当することで、より正確な診断のための質の高い標本の作製につながると考えています。

診断に役立つ位置から正確に細胞を採取しなければ意味がありません。針先がどこにあるのか超音波(エコー)装置できちんと確認しながら穿刺吸引を行います。

特に、甲状腺は血流が豊富な臓器で、周囲に内頸静脈などの血管があったり重要な神経が走っていたりするので、超音波装置で確認することで、血管や神経を極力避けながら安全に配慮して行います。

細胞を無駄なく回収する“液状化検体細胞診”

正確に診断するには、なるべくたくさんの細胞をとる必要があります。割合としては10%ほどですが、熟練した医師でもしこりの性質によっては、診断に必要な量の細胞がとれないことがあります。特に良性では、細胞が十分にとれないことが多く発生します。細胞があまりにも少ないと、正しい診断ができず「検体不適正」という結果になってしまいます。

採取した細胞が少なく適正な標本が作製できなかった場合は、再度穿刺することなく、保存した検体から別の方法で標本を作製しなおして調べます。液状化検体細胞診とは、しこりを刺した針を専用保存液に移し、専用の機器を用いて標本を作製する技術です。採取した細胞を無駄なく回収することができるので、「検体不適正」となる確率がほぼ半分に下がります。不適正率の減少、診断精度の向上、鏡検作業の負担軽減につながります。当院では10年以上前からこの技術を導入しています。

調べた結果によっては、医師が、超音波検査の所見なども参考にして、再度穿刺して細胞診を行うか、経過観察とするかを決定します。

なお、再度細胞診を行う場合や、検体不足により標本を作製しなおした場合には、追加で費用を請求させていただきますので、ご了承ください。

安全に検査を受けていただくために

この検査は頸部に針を刺すため、内部で出血する恐れがあります。下記の方は特に出血のリスクに注意が必要ですので、スタッフにお申し出ください。

● 血液が固まりにくくなる抗凝固剤を服用している方
● 血小板減少症、紫斑病の方