2021.04.15

ホルモン検査 (ほるもんけんさ)

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  • 橋本病
  • 甲状腺ホルモン

甲状腺ホルモンについて(T4、T3、FT4、FT3)

甲状腺ホルモンは、甲状腺の濾胞細胞と呼ばれる場所でヨウ素を原料に作られます。そして、濾胞細胞では、サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)と呼ばれる2種類の甲状腺ホルモンが作られます。T4は貯蔵型ホルモン、T3は活動型ホルモンとも呼ばれ、働きはT3のほうがT4より強いと言われています。濾胞細胞からはT4のほうがT3より多く血液中に分泌され、肝臓や腎臓においてT4はT3へと変換されます。また、血液中のT4とT3は、そのほとんどが甲状腺ホルモン結合蛋白と呼ばれるタンパク質と結合した状態で血液中を流れています。そして、そのごく一部が遊離型ホルモン(FT4、FT3)として、活性型甲状腺ホルモンとなり全身で作用します。
 
実際の診療では、甲状腺ホルモンの測定は、ほとんどの場合血液中のFT4とFT3の測定で行われ、当院でもFT4とFT3にて甲状腺機能の評価を行っております。また当院では、これらの甲状腺ホルモンについては約1時間程度で測定が可能です。

甲状腺ホルモンの調節機構

甲状腺ホルモンは、脳の下垂体と呼ばれる場所から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)とお互いに分泌の調節を行っています。脳下垂体から分泌されたTSHが甲状腺細胞膜のTSH受容体(TSHレセプター)に結合すると、その刺激により甲状腺ホルモン(T4、T3)の合成と分泌が行われます。血液中に分泌されたT4、T3は、今度は逆に下垂体に作用しTSHの分泌を抑制するように働きます(ネガティブフィードバック)。そして、これらお互いの刺激と抑制作用によりホルモン分泌の調整がなされ、私たちの血液中のホルモン濃度は一定に保たれています。
 
バセドウ病では、甲状腺ホルモンが高いため、脳下垂体でのTSHの分泌が抑制されています(ほとんど感度以下)。また、慢性甲状腺炎(橋本病)では、甲状腺ホルモンが低い場合には脳下垂体でのTSH分泌が抑制されないため、TSHは高値となります。これらの甲状腺ホルモンとTSHの関係は、言わばシーソーのような関係であり、一方が高くなればもう一方は低くなるといった関係にあります。

主な甲状腺疾患における甲状腺ホルモン値(FT4、FT3)と甲状腺刺激ホルモン値(TSH)との関係