2021.08.01

無痛性甲状腺炎 (むつうせいこうじょうせんえん)

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  • 甲状腺の病気の症状
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病気の特徴

無痛性甲状腺炎は何らかの原因によって甲状腺の細胞が壊れ、甲状腺に貯められていた甲状腺ホルモンが血中に漏れでてくるため、一時的に甲状腺ホルモンが増加する病気です。細胞が壊れても痛みがないため、無痛性甲状腺炎と呼ばれています。​
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甲状腺ホルモンの増加の後、一時的に甲状腺機能低下症となることがありますが、数か月以内に甲状腺機能は正常化し、症状はなくなります。まれに永続性の甲状腺機能低下症になる方がいますが、このような方は甲状腺ホルモン薬の内服を継続する必要があります。自然に治る病気ですが、何度か繰り返すことも少なくありません。

原因

慢性甲状腺炎(橋本病)をもともと持っている方が多いことから、自己免疫性の病気と考えられていますが、原因はまだわかっていません。また、出産後や過去にバセドウ病にかかっていた方にもよく見られます。

症状

血液中の甲状腺ホルモンが増加しているため、病気のはじめのうちは動悸、暑がり、体重減少など、甲状腺中毒症の症状が現れます。この後、壊れた甲状腺が回復するまでは一時的に甲状腺ホルモンが少なくなり、むくみ、寒がり、体重増加などが現れます。

診断のための検査

症状や血液中の甲状腺ホルモン濃度だけでは、バセドウ病と区別がつきません。そのため、放射性ヨウ素、またはテクネシウム摂取率検査を行います(ヨウ素制限をすることがあります)。無痛性甲状腺炎は甲状腺が壊れて働いていないので、ヨウ素、またはテクネシウムが取り込まれません。甲状腺機能が落ち着いてきても、機能低下になることもありますので、定期的なホルモン値の検査が必要です。

治療

自然に治っていく病気なので、1か月くらいで甲状腺ホルモンが改善してくると症状はなくなります。動悸がひどい場合には症状を抑えるおくすりを使います。甲状腺機能低下症の症状が強い場合や、続く場合には甲状腺ホルモン薬の内服が必要となりますが、副作用はほとんどありませんので、安心して服用できます。