

甲状腺中毒症・甲状腺機能亢進症 (こうじょうせんちゅうどくしょう・こうじょうせんきのうこうしんしょう)
症状
血液中の甲状腺ホルモンが増えると下図に示したような症状が現れます。どれか一つの症状だけ現れるのではなく、普通は複数の症状が同時に現れます。交感神経が刺激されて生じる動悸などの症状は緊張したときの症状によく似ており、自律神経失調症やパニック障害と間違われることがあります。
甲状腺機能亢進症で生じる症状は、少なくとも一週間以上持続します。若い方の場合は食欲亢進が体重減少に勝って太ることもありますので注意が必要です。
甲状腺中毒症
体の中に甲状腺ホルモンが増えて体重減少、全身倦怠感、手のふるえ、動悸、息切れ、脈が速くなる、暑さに耐えられないといったような諸症状が出ている状態が甲状腺中毒症です。
・代表的なものは、甲状腺が何らかの原因で破壊されて、甲状腺内に蓄えられていた甲状腺ホルモンが血液中に漏れて甲状腺中毒症を引き起こす無痛性甲状腺炎や亜急性甲状腺炎等です。
・甲状腺ホルモンを含んだものを摂取した結果、甲状腺中毒症になることもあります。
やせ薬の中に牛・豚などの甲状腺ホルモンが含まれており、体重は減ったが、全身の倦怠感や動悸などが生じたことが実際にありました。これは外因性甲状腺中毒症といいます。動物の甲状腺ホルモンは、人間の甲状腺ホルモンと構造がまったく同じなので、こういうことも起こるわけです。
甲状腺機能亢進症(甲状腺の機能の働きすぎによっておこる病気)
・広い意味では甲状腺中毒症に入りますが、甲状腺が甲状腺ホルモンを過剰に産出して、血液中に分泌している状態が甲状腺機能亢進症です。その代表的な疾患が、バセドウ病です。
・他に甲状腺の腫瘍が甲状腺ホルモンを分泌しているプランマー病(過機能結節:結節とは“しこり”のこと)も、甲状腺機能亢進症に分類されます。
甲状腺以外の原因によるまれな病気
TSH(甲状腺刺激ホルモン)産生腫瘍
脳下垂体にできた腫瘍が甲状腺刺激ホルモン(TSH)を作ることがあり、甲状腺機能亢進症の症状をきたします。
妊娠甲状腺中毒症
妊娠初期(10〜15週)に胎盤から出るhCGというホルモンが甲状腺に作用して、甲状腺ホルモンが増加するというものです。
卵巣甲状腺腫
卵巣の腫瘍の中に甲状腺組織が発生する病気です。

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