

バセドウ病と心臓の病気 (ばせどうびょうとしんぞうのびょうき)
バセドウ病では甲状腺ホルモンが増えるため、動悸などの心臓の症状が起こります。甲状腺ホルモンが過剰にあると心臓に負担をかけることとなり、放っておくと次のような心臓の病気まで引き起こしてしまいます。
心房細動
不整脈の一種です。正常な脈は同じリズムで正確に打っていますが、この不整脈になるとリズムが狂ってしまいます。心房細動を放っておくと心臓の中に血栓(血の塊)ができやすくなり、それが流れてしまうと体の様々な動脈につまってしまいます。例えば脳血管がつまると脳梗塞となり、手足が動かせなくなったり、呂律が回らなくなったり、重症の場合は死亡することもあります。
日本人では、バセドウ病の約2%の方にこの不整脈が起きており、これは年齢が高くなるほど高率になります。甲状腺ホルモンの量が正常になると、そのうち6割以上の方はこの不整脈が自然に治ります。しかし、この不整脈が続き、正常な脈に戻すために薬や電気的徐細動が必要になることがあります。この不整脈が続いている間は血栓ができやすいので、それを防ぐ薬の服用を要する場合があります。
心房細動は、起こってからの期間が短いほどよく治ります。バセドウ病の症状がある場合は定期的にチェックし不整脈がでれば早く治療することが大切です。
うっ血性心不全
バセドウ病や心房細動を治療しないでいると、心不全になります。心不全とは心臓のポンプ機能が悪くなる状態で、身体が必要とする十分な血液を身体に送り出せなくなります。心臓の動きが悪くなると体の中に水分が貯まりやすくなり、足のむくみがでたり、心臓や肺、お腹の中にまで体液が貯まったりしてしまうこともあります。心不全になると息苦しいため、体を動かすことも大変になり、入院治療が必要になります。
高齢者の方は心臓の機能がやや低くなっていることもあり、心不全になりやすいと言われています。もちろん若い方でも何年もバセドウ病を放っておくと、このような状態になる場合があります。
甲状腺ホルモンが増えた状態が続くと心臓に負担がかかるため、他にも狭心症や心筋梗塞、弁膜症などを起こしやすくなり、ごくまれにですが突然死することもありえます。また心臓病が起きると、甲状腺の治療に加えて心臓の治療まで長期にわたって行わなければなりません。しかし、早く気づいて治療できれば、このような心臓の病気を防ぐことができます。

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