

バセドウ病と骨粗鬆症 (ばせどうびょうとこつそしょうしょう)
私たちの骨は、壊されまた作られるといったサイクルが繰り返され、絶えず新しいものに作り替えられています。これらは、骨の破壊(骨吸収)と再生(骨形成)と呼ばれ、この働きにより常に骨塩量は一定に保たれ、丈夫な骨の維持に役立っています。そして、この働きを骨のターンオーバーと言います。
甲状腺ホルモンは、この骨のターンオーバーに対し促進的に働くため、バセドウ病で甲状腺の機能が亢進した状態では、骨吸収と骨形成の両者が促進されています。そして、甲状腺機能亢進症では、どちらかと言えば骨吸収のほうがやや強く働くため、バランス的には骨塩量が減少する方向に傾いています。さらに甲状腺機能亢進症では、尿からのカルシウム排泄の増加や、血液中のビタミンDの活性の低下、腸管からのカルシウムの吸収も低下しており、骨塩量が低下し骨粗鬆症になりやすい状態になっています。
一般的には、バセドウ病の治療を行えば、低下した骨塩量はもと通りに回復するのですが、閉経後の女性や高齢者のなかには、骨塩量の減少が強く、バセドウ病の治療だけでは骨塩量の回復が望めないことがあります。
骨塩量の低下や骨粗鬆症を予防するためには、十分量のカルシウムの補給が勧められています。1日約800〜1000mgのカルシウムの摂取が予防には必要と言われていますが、統計調査では日本人の平均摂取量は1日580mg程度であり、やや不足気味です。1日3食の規則正しいバランスの取れた食事と適度な運動をすることが基本ですが、カルシウムを多く含んだ食品、例えば、牛乳、ヨーグルト、チーズなどの乳製品を多く摂ることが勧められています。もし、高脂血症や肥満のため脂肪分の摂取に問題がある場合には、低脂肪の表示のあるものを選ぶか、豆腐などの大豆製品、小魚類、緑黄色野菜などによりカルシウムを補給することが勧められます。

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