2021.09.10

甲状腺乳頭癌 (こうじょうせんにゅうとうがん)

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病気の特徴

甲状腺癌の中で、一番多いタイプです。
原因は不明で、痛みなどの症状はほとんどなく、あったとしても甲状腺のしこりやリンパ節の腫れ程度です。乳頭という名前ですが、胸にある乳腺とは全く関係がありません。顕微鏡で観察すると癌細胞が集まって「乳頭」のような形をつくっているので、この名前がつけられています。
甲状腺乳頭癌には、以下のような特徴があります。

・ゆっくり発育し、性格がおとなしい症例が多い
・頸部のリンパ節への転移が多い
・肺や骨など遠隔臓器への転移は少ない
・進行すると、反回神経(声を出す神経)や気管に浸潤することがある
・約2~5%の確率で家族内発症がある

診断

血液検査、超音波検査、細胞診、CTなどの検査を行い診断します。

治療

大きさが1cm 以下の小さい甲状腺癌を微小癌といいます。このうち画像上リンパ節転移や遠隔転移がなく、甲状腺外に浸潤していない低リスク微小癌は進行しないかしても緩除なことがほとんどです。当院では低リスク微小癌の患者さんにはまず経過観察を行い、もし進行してくるようであれば手術を施行するという方針を取っております。それで深刻な再発を来した方や癌死した方は、現在までおられません。

それ以外の乳頭癌に対しては基本的に手術を行います。手術術式は甲状腺切除とリンパ節郭清ですが、手術の範囲は進行度によって異なります。術後は甲状腺ホルモン剤や、甲状腺全摘の場合はビタミンD剤の服用が必要なことがあります。その他の手術合併症としてかすれ声、リンパ液が漏れる、大声や高い声を出しにくい、出血(約1%)など、そして甲状腺全摘の場合には低カルシウム血症による指先のしびれが考えられますが、十分に注意して手術を行います。

術後は定期的に受診していただき、採血や超音波検査で再発の有無を確認し、投薬の調節をします。予後はおおむね良く、若年者の予後はとくに良好です。

​家族性の甲状腺乳頭癌について

甲状腺乳頭癌の患者様のうち、2〜5%が家族内の複数の方に出現するといわれています。遺伝が原因とされており、比較的若年者に多いのが特徴です。家族性乳頭癌の予後は家族歴のない症例に比べて特に悪くはありませんが、甲状腺内に癌が多発しやすいという特徴があります。また片葉切除を行った場合、残存した甲状腺に癌が再発する頻度は5%で家族歴のない症例よりも5倍高いことがわかっています。甲状腺切除範囲については、それをふまえて担当医とご相談ください。家族性甲状腺乳頭癌の発生頻度は低いとは言え早期発見・早期治療が望ましいので、ご家族のなかで甲状腺乳頭癌の手術をされた方がいるときには、念のために甲状腺の検査をすることをお勧めします。

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