2021.08.01

バセドウ病のアイソトープ治療(放射性ヨウ素を使った療法) (ばせどうびょうのあいそとーぷちりょう ほうしゃせいようそをつかったりょうほう)

  • アイソトープ療法
  • バセドウ病
  • 甲状腺の病気の治療
  • 甲状腺ホルモン

バセドウ病に対するアイソトープ療法の適応

放射性ヨウ素内用療法は、バセドウ病を直接治療するものではなく、放射性ヨウ素を内服することで甲状腺を被曝させるものです。その結果、甲状腺が小さくなり甲状腺ホルモンが過剰に出ないようになります。
以下の理由でアイソトープ治療をおすすめすることがあります。
 
・重篤な副作用(無顆粒球症や肝障害)のために抗甲状腺薬の継続が困難な場合
・甲状腺腫が大きく抗甲状腺薬で治りにくい場合
・抗甲状腺薬での完治が困難な場合
・抗甲状腺薬の副作用が心配な方や早期に治癒希望の方も手術適応となることがあります。

アイソトープ療法の実際

投与の1週間前からヨウ素を制限し、抗甲状腺薬を数日休薬した後、予約日に放射性ヨウ素のカプセルを一回内服するだけで、治療は終了します。
治療効果はすぐに見られないため、抗甲状腺薬を再開しますが、約1ヶ月後から徐々に甲状腺が縮小し抗甲状腺薬が減量できるようになります。治療後半年間は月に一度程度の間隔で甲状腺機能の検査を受け、抗甲状腺薬の調節を受ける必要があります。
 
メリット
・この治療は外来で受けるができ、効果も確実で安価な治療です。
・放射性ヨウ素による直接の副作用はありません。
・甲状腺が小さくなります。
・抗甲状腺薬がやめられる可能性があります。
・再発するリスクが少ない。
 
デメリット
・抗甲状腺薬の休薬まで2~6ヶ月必要。
・甲状腺の大きさによって複数回、あるいは入院治療が必要な場合がある。
・長期的は甲状腺機能低下症になります。
 甲状腺ホルモンの補充が必要となりますが、治療に使う甲状腺ホルモン剤には全く副作用はありません。
検査も年に2回でよく、抗甲状腺薬の治療よりはるかに楽になる事が多いです
・TRAbがすぐには低下しません。
甲状腺が縮小した後にTRAbが低下してくることが多いですが、短期的には上昇する場合もあります。TRAbが低下するまでの期間が手術と比較すると1~2年長い傾向にあります。
TRAbが高値でも、甲状腺が縮小しますので必ずしも甲状腺ホルモンが増加するわけではありません。しかし、まれにTRAbが上昇する時期に、バセドウ病眼症の症状が悪化することがあります。また、出産時にTRAbが高値であると新生児バセドウ病のリスクが増加します。そのため、1から2年は妊娠の予定がないことが必要です。

アイソトープより手術が望ましい方

・甲状腺が大きい場合
・活動性のバセドウ病眼症がある場合
・甲状腺がんを合併する場合
・早期に妊娠を希望している場合

関連記事について

アイソトープ治療に関連する情報を、下記の記事にまとめています。
詳しい内容は、下記のコンテンツをご参照ください。

 

 

その他の治療法について

その他の治療法について、下記の記事にまとめています。ぜひ合わせてお読みください。

 

 

 

関連記事