お知らせ
2025.07.22(火)
学術活動【インタビュー】日本臨床細胞学会技師賞(学術部門)を受賞した鈴木細胞検査士
隈病院 病理診断科の細胞検査士 鈴木彩菜職員が、日本臨床細胞学会 技師賞(学術部門)を受賞しました。
>>>受賞式の様子はこちら
鈴木細胞検査士は、このたびの受賞以外にも、昨年は日本甲状腺病理学会の理事に選出されるなど、活躍を続けています!
今回のインタビューでは、理事就任や受賞の喜びの声とともに、細胞検査士を目指してから現在までの道のりや、やりがい・将来の展望についてたずねました。
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鈴木細胞検査士は、このたびの受賞以外にも、昨年は日本甲状腺病理学会の理事に選出されるなど、活躍を続けています!
今回のインタビューでは、理事就任や受賞の喜びの声とともに、細胞検査士を目指してから現在までの道のりや、やりがい・将来の展望についてたずねました。

日本臨床細胞学会 技師賞受賞の鈴木彩菜細胞検査士
鈴木彩菜 細胞検査士へのインタビュー
Q1.「細胞検査士」とはどういうお仕事でしょうか?
細胞検査士は細胞病理検査つまり細胞診を専門にする臨床検査技師のことです。
患者さんから採取した細胞を染色してプレパラートを作り、顕微鏡で細胞の形を観察して、異常な細胞を見つけるのが細胞検査士の仕事です。細胞の悪性・良性を判断し医師に提出するレポートを作成しています。
Q2.「細胞検査士」を目指すきっかけは?
中学生時代、はじめてゾウリムシを顕微鏡で観察したときに「こんな世界があるとは」と衝撃を受けたのが始まりです。新しい世界を発見したような感覚を抱き、顕微鏡に目覚めました。その後、「顕微鏡 仕事」で検索して、「細胞検査士」という仕事があることを知りました。
最初から「細胞検査士」一直線だったので、大学卒業とともに臨床検査技師と細胞検査士両方の資格を取得できる養成コースを履修し、修士課程を修了してすぐ「細胞検査士」として隈病院に入職しました。
Q3. 隈病院に入職した経緯は?
「顕微鏡を使う仕事」として「細胞検査士」一筋だった私に、当時通っていた大学の教授が当院の廣川医師(病理診断科科長)を紹介してくれました。関西にはそれまで特に所縁がなかったのですが、当時から学術研究に興味があり、隈病院なら研究活動も積極的に取り組めると聞いて、思い切って飛び込みました。
Q4. やりがいを感じる瞬間を教えてください。
やはり、判断の難しい症例を細胞診の段階で推定できた結果、患者さんの早期治療開始につながった時でしょうか。これまで細胞診で特定するのが難しいとされていた病気に共通する細胞の特徴を見つけられたこともありました。
これは、甲状腺専門病院で患者さん、つまり症例の数が多い隈病院でなければできないことだったと思うので、改めてこの病院に来てよかったなと感じました。
Q5. 2024年7月に日本甲状腺病理学会の理事に選任されました。決まった時のお気持ちを教えてください。
まさに青天の霹靂という気持ちでした。病理医の先生方が引っ張っておられる学会ですので、前例に照らしても臨床検査技師が理事になるなんて、と。
ただ率直に、これまで地道に研究を発表し続けてきたことを評価してもらえたんだと思うと、とても嬉しかったです。
Q6. さらに、日本臨床細胞学会2024年度技師賞(学術部門)も受賞されました。喜びの声をお聞かせください。
日本臨床細胞学会には、学会賞と技師賞、そして技師賞の中には功労部門と学術部門という2部門があります。今回私が受賞したのは技師賞の学術部門で、今年初めてエントリーしました。歴代受賞者の顔ぶれを考えると改めて、まさか初めての挑戦で受賞できるとは・・・!と、びっくりしています。
Q7. 今回の受賞につながった理由はなんだと思いますか?
学会員になってから12年以上経つのですが、最近は特に研究論文を積極的に発表していて、今回のエントリー時には、改めて自分の研究活動を見直してみました。
細胞検査士は細胞病理検査つまり細胞診を専門にする臨床検査技師のことです。
患者さんから採取した細胞を染色してプレパラートを作り、顕微鏡で細胞の形を観察して、異常な細胞を見つけるのが細胞検査士の仕事です。細胞の悪性・良性を判断し医師に提出するレポートを作成しています。
Q2.「細胞検査士」を目指すきっかけは?
中学生時代、はじめてゾウリムシを顕微鏡で観察したときに「こんな世界があるとは」と衝撃を受けたのが始まりです。新しい世界を発見したような感覚を抱き、顕微鏡に目覚めました。その後、「顕微鏡 仕事」で検索して、「細胞検査士」という仕事があることを知りました。
最初から「細胞検査士」一直線だったので、大学卒業とともに臨床検査技師と細胞検査士両方の資格を取得できる養成コースを履修し、修士課程を修了してすぐ「細胞検査士」として隈病院に入職しました。
Q3. 隈病院に入職した経緯は?
「顕微鏡を使う仕事」として「細胞検査士」一筋だった私に、当時通っていた大学の教授が当院の廣川医師(病理診断科科長)を紹介してくれました。関西にはそれまで特に所縁がなかったのですが、当時から学術研究に興味があり、隈病院なら研究活動も積極的に取り組めると聞いて、思い切って飛び込みました。
Q4. やりがいを感じる瞬間を教えてください。
やはり、判断の難しい症例を細胞診の段階で推定できた結果、患者さんの早期治療開始につながった時でしょうか。これまで細胞診で特定するのが難しいとされていた病気に共通する細胞の特徴を見つけられたこともありました。
これは、甲状腺専門病院で患者さん、つまり症例の数が多い隈病院でなければできないことだったと思うので、改めてこの病院に来てよかったなと感じました。
Q5. 2024年7月に日本甲状腺病理学会の理事に選任されました。決まった時のお気持ちを教えてください。
まさに青天の霹靂という気持ちでした。病理医の先生方が引っ張っておられる学会ですので、前例に照らしても臨床検査技師が理事になるなんて、と。
ただ率直に、これまで地道に研究を発表し続けてきたことを評価してもらえたんだと思うと、とても嬉しかったです。
Q6. さらに、日本臨床細胞学会2024年度技師賞(学術部門)も受賞されました。喜びの声をお聞かせください。
日本臨床細胞学会には、学会賞と技師賞、そして技師賞の中には功労部門と学術部門という2部門があります。今回私が受賞したのは技師賞の学術部門で、今年初めてエントリーしました。歴代受賞者の顔ぶれを考えると改めて、まさか初めての挑戦で受賞できるとは・・・!と、びっくりしています。
Q7. 今回の受賞につながった理由はなんだと思いますか?
学会員になってから12年以上経つのですが、最近は特に研究論文を積極的に発表していて、今回のエントリー時には、改めて自分の研究活動を見直してみました。
【鈴木細胞検査士の研究活動(2025.07現在)】
論文発表 英語:17本(共著:49本)、日本語:17本(共著:20本)
教科書執筆 英語:3冊、日本語:11冊
学会発表 国内:46演題、海外:14演題
科長の廣川医師や皆さんの後押しがあって、これまで取り組んでこれました。それを客観的に評価していただくことができたのかなと思っています。
Q8. これからさらに挑戦したいことはありますか?
今後は、国際学会などでの発表の場を増やしていき、隈病院の知見を海外へさらに発信していきたいです。
そのために、今は英語力が課題だと感じています。学会での意見交換やネットワークを広げるためにも、もっと深いコミュニケーションをとれるようになりたいですね。国によって、医療環境や文化が大きく違うので、そうした背景への理解が大切だと実感しています。
Q9. 細胞検査士という仕事の魅力はなんでしょう?
私にとってはもう、顕微鏡を使えるというだけで魅力的なんですが・・・(笑)
特に甲状腺領域においては、細胞診が術前診断においても大きな位置を占めていて、治療方針に対して大切な情報を与えられる意義のある仕事だと思っています。だからこそ、より精度の高い判断ができるように、日々、気を引き締めて顕微鏡に臨んでいます。
Q10. 細胞検査士を目指す後輩達へのエールをお願いします。
ここ数年は、大学で講義も持たせていただいて、未来の細胞検査士の後輩達に「教える」という経験もさせてもらっています。もともと教育にも興味があったので、「学生当時どういう風に教わりたかったか」を思い出しながら、今、取り組んでいます。
細胞検査士としてより良い仕事を行うためには、検体検査、画像検査、治療法といった細胞診以外の知識も同じくらい重要です。また最近の医療は、遺伝子やAIなどいろいろな領域と繋がり拡大しています。こういう新しい情報をアップデートし続けることで、そこで働く私たちの世界も広がっていくのが楽しみです。
ぜひ、これから細胞検査士を目指す皆さんも、広い視野を持って、楽しく仕事に向き合ってもらえたらいいなと思っています。
Q8. これからさらに挑戦したいことはありますか?
今後は、国際学会などでの発表の場を増やしていき、隈病院の知見を海外へさらに発信していきたいです。
そのために、今は英語力が課題だと感じています。学会での意見交換やネットワークを広げるためにも、もっと深いコミュニケーションをとれるようになりたいですね。国によって、医療環境や文化が大きく違うので、そうした背景への理解が大切だと実感しています。
Q9. 細胞検査士という仕事の魅力はなんでしょう?
私にとってはもう、顕微鏡を使えるというだけで魅力的なんですが・・・(笑)
特に甲状腺領域においては、細胞診が術前診断においても大きな位置を占めていて、治療方針に対して大切な情報を与えられる意義のある仕事だと思っています。だからこそ、より精度の高い判断ができるように、日々、気を引き締めて顕微鏡に臨んでいます。
Q10. 細胞検査士を目指す後輩達へのエールをお願いします。
ここ数年は、大学で講義も持たせていただいて、未来の細胞検査士の後輩達に「教える」という経験もさせてもらっています。もともと教育にも興味があったので、「学生当時どういう風に教わりたかったか」を思い出しながら、今、取り組んでいます。
細胞検査士としてより良い仕事を行うためには、検体検査、画像検査、治療法といった細胞診以外の知識も同じくらい重要です。また最近の医療は、遺伝子やAIなどいろいろな領域と繋がり拡大しています。こういう新しい情報をアップデートし続けることで、そこで働く私たちの世界も広がっていくのが楽しみです。
ぜひ、これから細胞検査士を目指す皆さんも、広い視野を持って、楽しく仕事に向き合ってもらえたらいいなと思っています。