インタビュー

「手術がうまくなりたい」という思いに、隈病院は応えてくれる

外科医として大きく成長することができた2年間

私は川崎医科大学の乳腺甲状腺外科学教室に入局後、甲状腺の手術に魅力を感じ「甲状腺を専門にしたい」と思うようになりました。そして、専門的で高度な甲状腺の手術を学ぶために、医師7年目のときに隈病院に入職しました。(詳しくは、前回インタビュー「手術の経験を積み、甲状腺外科のスペシャリストになりたい」をご覧ください)

隈病院に来てからはとにかく数多くの手術に携わりました。入職して3か月経った頃から、上級医の指導のもと執刀医を務めさせていただき、それからの2年間で、425件の手術を行いました。大学病院に勤務していた2年間での執刀数は80件程度であったことを考えると、この2年間で大学病院にいた頃の5倍以上の手術を経験したことになります。先輩医師の指導と豊富な症例を経験することで手術のスキルを向上させ、外科医として大きく成長することができたと思っています。

甲状腺外科医の登竜門のバセドウ病の手術が上達

2年経った今も、引き続きスタッフとして隈病院での勤務を継続しています。隈病院に残ることを決めたのは、外科医として育ててくれた恩を感じていたからです。

特に、先輩の外科医たちからは、手術の細かい作法から手技まで、さまざまなことを教わりました。たとえば、その一つがバセドウ病の手術です。甲状腺に携わる外科医として、バセドウ病の手術を上手にできることは一つの登竜門といえます。この2年間で、その安全性とスピードを向上できるよう懸命に手技を磨きました。

バセドウ病は、甲状腺がんと比べて手術時の出血量が多くなります。いかに出血量をおさえ、安全でスピードの速い手術を行うことができるかが重要になります。先輩医師の指導のもと、技術を磨くチャンスを数多く与えてもらったことで、バセドウ病の手術がスムーズにできるようになったことは、隈病院の2年間の経験で得られたひとつの財産といえるでしょう。

難しい症例にも先輩医師の手厚い指導のもとで挑戦する

手術のスキルが向上したのは、豊富な症例数だけが理由ではありません。専門病院ならではの難しい症例を、優秀な先輩医師の手厚い指導のもとで挑戦させてもらえたことも、大きな要因であったと思います。

たとえば、甲状腺がんの手術時には腫瘍の摘出のために術野を確保する目的で、胸骨切開を行うことがあります。胸骨切開を併用した手術は経験のある医師が行うことが多く、難しい症例といえます。私のような若手医師が、甲状腺の手術で胸骨切開を任されるケースは珍しいでしょう。

しかし、このように難しい症例であっても、経験豊富な外科医にサポートしていただき、徐々に手術の執刀を担当するようになりました。執刀医の指名にあたり先輩医師が「山本先生なら大丈夫」と言って信頼してくださったことを今でも覚えています。これは外科だけでなく内科やその他の部署もですが、先輩医師やスタッフたちの「若手医師を育てよう」という姿勢には心から感謝しています。

今後は指導する立場としても

スタッフの外科医となった今では、私よりも後に入職した外科医をサポートする機会も徐々に増えてきました。特に最近では、自分より後に入職した医師と一緒に手術に入る機会も少なくありません。先輩医師が私にしてくれたように、安全でスピードの速い手術をすべての医師が実現できるような指導ができればと考えています。

実際に、自分よりも後に入職した医師の成長に驚くこともあります。隈病院では、専門病院の外科医として非常に多くの甲状腺の手術に携わることができるので、上達のスピードが圧倒的に速くなると感じています。それまでの経験年数などの要素はもちろんありますが、入職して1年足らずであっても、かなりの技量の医師も隈病院にはおられます。これからも自身がしてもらったように、後輩医師を迎え入れるときには丁寧な指導に努め、一緒に手術に入ると心強いと思ってもらえるような指導医になりたいと考えています。

これからも安全で正確な手術を実現する

今でこそたくさんの手術を任せてもらえるようになりましたが、医局の同期の中でも最初の頃はどちらかといえば劣等生であると感じていました。

しかし、上手な手術のできる外科医になりたいという気持ちは、医師になった当初から誰にも負けなかった自信があります。その一心で経験を積んできました。「手術がうまくなりたい」という思いに隈病院は応えてくれる場所です。先輩医師による指導や豊富な症例によって手術が上達したことは、何にも代え難い喜びです。

今後も、より安全で正確な手術を実現していくつもりです。さらに自分の手術手技を磨いていきたいと考えています。そして、これからも、ひとりでも多くの患者さんを救える外科医でありたいです。

このインタビューのドクター

川崎医科大学を卒業後、大学の乳腺甲状腺外科医局に入局。入局後、直視下手術が大半である甲状腺の手術に魅力を感じ、甲状腺を専門にすることを決意。その後、症例数の多い隈病院へ。隈病院では手術の他に外来も担当し内科としても従事。臨床研究にも取り組み、国内の学会での症例報告も経験。正確さとスピードを兼ね備えた手術を目指し、日々修練を重ねる。入職後約10か月で50~60症例の手術を行う。2022年3月隈病院を退職。

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