甲状腺について

甲状腺ホルモンが増加する病気

バセドウ病
Graves’ disease

病気の特徴

腫大した甲状腺から過剰に分泌された甲状腺ホルモンによる症状と、バセドウ眼症などの甲状腺外の症状を特徴とします。

原因

甲状腺を刺激する抗体(TSH受容体抗体)が原因と考えられていますが、本当の原因は分かっていません。

症状

甲状腺の腫大、頻脈、眼球突出の3つの症状がそろえばバセドウ病と言えるのですが、このすべてがそろうとは限りません。その他、動悸・多汗・体重減少・疲労感・振戦・息切れなどがあります。

診断

典型例は症状だけからも診断がつきますが、病状の程度、確定診断などにはどうしても検査が必要です。

1.甲状腺ホルモン(freeT4)と甲状腺刺激ホルモン(TSH)の測定

甲状腺機能の把握には、欠かせない血液検査です。
バセドウ病ではfreeT4が高値、TSHが測定できないくらいに低値になります。

2.TSH受容体抗体 (TRAb)の測定

これも採血で簡単に測定できます。バセドウ病であれば陽性となります。
10%くらいは陰性となりますが、最近は測定キットの性能もあがり、バセドウ病と他の疾患を高精度で鑑別できるようになってきています。
その他、甲状腺に対する抗体(抗Tg抗体、抗TPO抗体)も測定します。

3.超音波検査

この検査も欠かせません。甲状腺の大きさ、甲状腺内の血流、甲状腺の内部に結節(しこり)がないかどうかを検査します。

以上でバセドウ病の診断はつきますが、どうしても他の疾患、特に無痛性甲状腺炎との区別が難しくなると、当院では放射性ヨード摂取率の検査をします。これは体には全く無害でく微量の放射性ヨードを内服し、甲状腺に何%集まるかを検査します。

 

バセドウ病はヨードを材料に甲状腺にて甲状腺ホルモンが多く産生されますので、飲んだ放射性ヨードはたくさん甲状腺に集まりますが、無痛性甲状腺炎など甲状腺が破壊されている病気では、ほとんど甲状腺に集まらないので簡単に区別がつきます。

治療

バセドウ病の治療はまず、血液中に甲状腺ホルモンが増えたことによる甲状腺機能亢進症状を和らげることです。この甲状腺ホルモンを下げることにより、自然に甲状腺機能亢進症状も軽快します。

治療自体は大変簡単で、甲状腺ホルモンの産生を抑える抗甲状腺剤を毎日決められた量内服していれば、自然に甲状腺ホルモン産出量も下がってきます。甲状腺機能亢進症状も2週間目くらいから少しずつ良くなりはじめ、普通は1〜2か月もすればかなり良くなります。

抗甲状腺剤についてくわしくはこちら


この間一番大事なことは副作用に注意することです。どんな薬もそうですが、抗甲状腺剤にも副作用があります。特に重要な副作用として、白血球が突然減って体の抵抗力が弱り、40度くらいの高熱や喉の痛みが出ることが稀にあります。放置していれば白血球は下がったままで大変危険な状態になります。必ず38度以上の高熱がでれば病院で受診してください。その他、抗甲状腺剤による蕁麻疹などの薬疹などがありますが、適切な処置をすれば改善します。あまり副作用のことを心配しすぎてもいけませんが、何でも変わった症状があれば担当医に相談してください。

抗甲状腺剤の副作用についてくわしくはこちら


甲状腺ホルモンの量が正常まで下がって症状が落ち着けば治ったと同じで、運動制限も特になく、健康な時と同じような生活が過ごせますが、抗甲状腺剤の内服は欠かせません。もう完治したと思い薬の内服を中止したり、不規則な内服になりがちですが、ここで油断すると、すぐに最初の機能亢進症状に逆戻りする事が多いのです。定期的に検査を行いながら抗甲状腺剤の内服量を調節していきますが、ご自分の判断で調節しないことが大事です。

甲状腺機能が安定すれば薬の量も減り、通院の間隔も数か月に一度くらいでよくなりますが、抗甲状腺剤による治療は2年位かかります。特に抗甲状腺剤を中止する時期が難しいですが、ここでも担当医と良く相談しながら中止時期を決定することが大事です。

2年間内服しても抗甲状腺剤の中止が出来ない時は、そのまま継続して内服していくか、あるいは別の治療法に変更することがあります。

その治療法の一つに放射性ヨードを使ったアイソトープ療法という治療があります。この治療は比較的簡単で、効果も確実で安価な治療です。毎日内服する抗甲状腺剤とは違い、予約日に1回放射性ヨードのカプセルを内服するだけで、一応治療は終了します。内服すると放射性ヨードが甲状腺に集まり、甲状腺の組織を破壊し、甲状腺も小さくなり、甲状腺ホルモンを産生させる力が弱まります。ただ、欠点は将来的に甲状腺機能低下症になる率が高いことです。こうなれば不足した甲状腺ホルモンを甲状腺ホルモン剤で補わなければいけませんが、甲状腺機能低下症の治療に使う甲状腺ホルモン剤には全く副作用はありません。検査も年に1〜2回でよく、抗甲状腺剤の治療よりはるかに楽となります。

バセドウ病に合併する眼の病気心臓の病気骨そしょう症、またバセドウ病の心理的側面妊娠と授乳についてその他のリスク手術療法などは各ページを参照してください。

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