インタビュー

アカデミックな活動を通して得た大きな栄誉

基礎研究と留学を経て隈病院へ

私は長崎大学 医学部を卒業後、長崎大学 第一内科に入局しました。甲状腺を専門とする教授のもと、2年ほど臨床に取り組んだ後、基礎研究に従事。その後はアメリカのベイラー医科大学へ留学もしました。
留学から帰国後は約2年間基礎研究に従事しながら、一般の診療も担当しました。内分泌疾患の中でも最も頻度が高い甲状腺について学ぶために隈病院に入職することになります。2〜3年ほど隈病院で経験を積もうと考えていた当初の目論見に反して、気づいたら14年程の年月をここで過ごすことになりました。

仲がよく和やかな雰囲気の隈病院

甲状腺の専門病院として名高い隈病院の存在は入職前から知っていました。私が入職した頃の内科は、現在の1/3程の人数で6〜7名。和やかな雰囲気の中、職員旅行や部活動なども盛んで、私も入職以来ソフトボール部に所属してきました。
その後、徐々に職員数も来院いただく患者さんの数も増えていき、対外的な評価もとても高くなってきていると感じます。

栄誉ある日本甲状腺学会・七條賞を受賞

入職以来、内科医として外来診療をメインに担当しながら、研究にも注力しています。特に遺伝子が関係する疾患の研究を積極的に行っており、他大学と連携しながら行うこともあります。
2011年には、これまでの研究の実績が評価され、栄誉ある日本甲状腺学会・七條賞を頂戴しました。七條賞は大学病院に所属する医師が受賞することが多いのですが、民間病院のみに所属する医師としては私が初めて受賞させていただきました。
隈病院には、積極的に論文執筆を行う文化があります。その環境の中で私も入職以来、毎年英語論文の執筆を継続しています。施設としても、国内のみならず国外へのアピールを考えると論文執筆は重要であると考えています。

非常に恵まれた研究環境

隈病院は、臨床のみならず研究にも積極的に取り組みたい医師にとって、適した環境であると思います。特に臨床研究であれば、症例数が多いハイボリュームセンターであることは大きな強みであり、非常に恵まれた環境であるといえるでしょう。
日々診療している患者さんは、同じ疾患であっても必ずしも同じような症状を現すわけではなく、異なる病態を示す方もいます。なぜ異なるのかを、丁寧に診療することから新たに発見させていただき、それが研究につながることも少なくありません。
また近年では、自分たち独自の研究だけでなく、長崎大学や和歌山大学、大阪大学、獨協医科大学など他大学との共同研究を行う機会にも恵まれました。共同研究は、研究の幅が広がったり、新たな発見につながったりするなど、非常によい影響があると実感しています。このため、積極的に共同研究を活用することは大切であると考えています。

若手医師から刺激を受け、そして学ぶ

隈病院には新しく入職する先生たちが多数います。若い先生たちがチャレンジ精神を持って入職してくれる環境には感謝しています。純粋に疑問をぶつけられることで刺激を受け、こちらも勉強になることが多いからです。
カンファレンスのレベルは非常に高く、隈病院のカンファレンスにおいて、スペシャリストの先生方からの質問にきちんと答えることができれば、学会でどれだけ質問されても大丈夫なのではないでしょうか。若い先生たちも、カンファレンスで鍛えられれば成長することができると思います。
内科は、入職人数が増えていく中で、指導体制が整ってきていますし、第一人者の先生たちに質問できる環境もあります。やる気を持ち自分から学ぼうとする姿勢があれば、非常に多くのことを学ぶことができます。学会発表の際のテーマも、最初は先輩医師からアドバイスをもらえると思いますが、徐々に自分でテーマを見つけることができるようになるでしょう。

隈病院だからこそのアカデミックな活動

甲状腺が1日で作ることができるホルモンの量は食塩一粒くらいです。しかし、そのわずかなホルモンが全身へ大きな影響を与えます。甲状腺は、全身に影響を及ぼすという意味で非常に興味深く、まだ解明されていない部分を見つけだしていく姿勢が大切です。
14年もの歳月を隈病院で過ごすことができたのは、アカデミックな活動に従事することができたことが大きな要因でしょう。留学も含めて研究に勤しんできた自身のキャリアを、活用することができたのは隈病院だからこそです。
また、研究に従事することで将来新たな治療法や病気の発見につながるなど、患者さんのお役に立つことができるように、これからも臨床と研究、どちらにも力を入れていきたいです。

このインタビューのドクター

内科

診療支援本部 本部長、内科 副科長
西原 永潤医師

長崎大学医学部を卒業後、長崎大学 第一内科に入局。臨床・基礎研究に従事し、アメリカのベイラー医科大学への留学も経験。留学から帰国後は、基礎研究に従事しながら一般診療を担当する。その後、甲状腺の経験を積むために2004年に隈病院に入職。入職以来、毎年論文執筆を続け、2011年には日本甲状腺学会・七條賞を受賞。

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