インタビュー

甲状腺愛にあふれた環境で、診療と研究を両立する

培った経験を生かし、臨床経験をさらに積みたいとの思いで隈病院へ

私は2014年に金沢医科大学を卒業後、同大学の糖尿病・内分泌内科学に入局し、主に糖尿病と内分泌診療の専門研修を受けました。その間、大学病院の勤務と並行しながら、同大学の大学院医学研究科にて主に糖尿病性腎症の研究活動にも従事しました。そして2022年に大学院を修了したことをきっかけに、2023年に隈病院に入職しました。
もともと、大学院修了後は外の世界を見たいと思っていました。当時の恩師との進路相談において、海外研究留学の選択肢もいただきましたが、甲状腺診療にも携わってみたいと考えていたところ、甲状腺なら隈病院と伺ったのです。「隈病院で働くチャンスがあるのならぜひ」という思いで早速ホームページを見てみたところ、さまざまな背景や経歴の先生がいらっしゃることを知り、多様なバックグラウンドの先生を受け入れている病院という印象を受けました。その後、上司の計らいで同時期に入職を考えていた先生と知り合えたことも追い風となり、実際の病院見学を経て、入職に至りました。入職が決まった時は相談した恩師も大変喜んでくださいました。
私は日本内分泌学会認定 内分泌代謝科専門医(以下、内分泌代謝科専門医)の資格を取得していますが、領域は下垂体、甲状腺、副甲状腺、副腎、膵臓(すいぞう)など広範囲の臓器に及びます。甲状腺疾患はほかの内分泌疾患を合併することもあるため、隈病院はこれまで培った自分の経験全てを生かせる場であると思いました。臨床経験をさらに積みたいという気持ちもありましたので、入職が決まった時はとてもうれしかったです。

患者さんと喜びを分かち合えることがやりがい

今、隈病院で内科医として甲状腺の診療をしていてやりがいを感じるのは、やはり患者さんの病状が目に見えてよくなったときです。診断をつけ治療した結果、患者さんの症状が改善する様子がホルモン値というデータでも分かり、患者さんがうれしそうにする様子に私もうれしく思います。時には簡単に診断がつかない病気もあり、たとえベテランの先生でも悩むこともあるのが甲状腺疾患の分野です。しかし、逆にそれが内分泌代謝科専門医として打ち込むことのできる奥深さだとも感じています。

甲状腺愛にあふれる先生方の指導を受けられる感動

実際に隈病院に入職してみて、教育熱心な先生方が内科・外科問わず大勢在籍していらっしゃると感じました。専門病院では難解な言葉を使いがちかと思っていましたが、ここではメール1つにしても、多様な背景を持つ一人ひとりが理解できるよう配慮してくださるのです。長い経歴を持つ先生方ばかりなのにもかかわらず、皆さん丁寧に言葉を選んで指導してくださるその姿に感動しました。議論の場でも、なぜ今この議論がなされているのか、その経緯やこれまでの歴史を踏まえたうえで分かりやすい言葉にしてくださいます。ご本人は意識していらっしゃらないのかもしれませんが、その様子に先生方の甲状腺愛や教育に対する熱意を感じました。
教科書の中の憧れの存在だった先生方が、初歩的な質問に対しても文献のデータをもって回答してくださったり、学会のサポートも手厚くしてくださったりと、いくらでも相談に乗ってくださるのは本当に贅沢な環境だと思います。また、身近な先輩医師たちがとても親切に指導してくださるのもありがたいです。特に印象に残っているのは、同じ内科の出口(でぐち) ハンナ先生が何か月もそばで細胞診のサポートをしてくださったことです。このような素晴らしい先輩医師に出会えたことに感謝する毎日です。私も先輩医師にしていただいたサポートを後輩にもできるようになりたいと思っています。

無理なく経験を積める体制と守備範囲の広さが魅力

入職前に想像していたとおり、隈病院はとても明るい病院です。改築した建物も気持ちよいですし、食堂のご飯もとてもおいしいです。
朝のカンファレンスは内科・外科を問わず、他職種の職員も自由に参加でき、一堂に会して行われます。疑問に思っていることがあればその場で質問する機会もありますし、皆が一体となって1つの課題に取り組むことができます。こうして生まれる連帯感が働きやすさにつながっていると思います。また、外来のシステムがしっかりしており、予約や検査、事務などそれぞれの業務が独立しているため、外来業務の負担が少ない環境も魅力です。就業時間がしっかりと決まっているため、学会や論文のための時間を確保できますし、当直が希望制であることや、平日の休みやすさも働きやすさにつながっていると思います。
手厚いフォロー体制があるため、内分泌内科の専門性を深く身につけたい人にとってもやりがいを感じられる環境だと思います。私自身、隈病院に入職する以前は甲状腺疾患の診療を経験する機会が多くなかったため、最初は診察する患者数を調整していただきました。無理なく経験を積み、自信を持って患者さんと疾患に向き合える環境のなかで診療を行なえることは大変ありがたいです。
加えて先生方の守備範囲が広いため、甲状腺のみならず副甲状腺疾患についても、ほかでは経験し得ないほどの修練を積むことができています。これは内分泌内科医にとっても大きな魅力の1つといえるでしょう。

責任を持って診療と研究活動を両立していきたい

隈病院に入職する以前から、さまざまな出会いがあったおかげで今、甲状腺疾患に打ち込むことができています。今は“とにかくここで得られる全てを吸収したい”という気持ちですし、同時に“これからの出会いも大事にしたい”という気持ちも強いです。現在は結節を主に研究していますが、バセドウ病や副甲状腺関連にも視野を広げ、経験値を高めていく方向にも関心を持っています。
隈病院で診療に携わりながら、研究にも責任を持って取り組めることを心地よく感じる日々です。医師10年目、もっともっと専門性を尖らせていきたいですし、よりいっそう自信を持って診療していくためにも、甲状腺にさらに力を入れて取り組んでいきたいです。

このインタビューのドクター

金沢医科大学を卒業後、同大学の糖尿病・内分泌内科学に入局し、主に糖尿病と内分泌診療の専門研修を受ける。大学病院の勤務と並行しながら、同大学の大学院医学研究科にて主に糖尿病性腎症の研究活動にも従事。大学院の修了をきっかけに、2023年に隈病院に入職。日本内分泌学会認定 内分泌代謝科専門医の資格とこれまでの経験を生かして、日々の診療と研究活動に注力する。

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