夫の転勤をきっかけに隈病院に入職
私は佐賀大学を卒業した後、長崎大学病院の第一内科に入局し、長崎県内の病院で主に糖尿病と内分泌疾患の診療を行ってきました。その後、夫の関西への転勤がきっかけとなり、隈病院に入職しました。まだ子どもが小さく、何かあったときに九州にいる家族のサポートをすぐには受けられない新天地での生活に懸念はありましたが、思い切って入職を決めました。
研修医時代から甲状腺の診療は経験値が求められると感じていました。そのような難しさはありますが、経験を積み甲状腺について専門性を高めたい、自分の強みにしたいとずっと考えていました。研修医時代に長崎大学病院の第一内科をローテーションして指導を受けたことや、大学から離れた後も甲状腺診療に触れる機会が多かったこと、地域の医師に甲状腺疾患について講演する機会をいただいたことなどもあり、甲状腺診療により一層打ち込みたいという気持ちが強くなっていきました。夫の転勤がきっかけではありましたが、自分のキャリアを考えるうえでも隈病院への入職はとてもよいタイミングだったと思います。
以前から、隈病院の先生方の論文は拝読していましたので、診療や研究のレベルの高い場所で働くのは大変ではないかという気持ちが漠然とありました。しかし、同じ医局から隈病院に赴任した先輩医師がいらっしゃったので、実際の勤務の様子を事前に伺うことができました。働き方について相談できる環境であるという情報を得られたことも、入職を決意する大きな要素となりました。
「患者さんの満足のいく医療を提供したい」との思いをかなえられる環境
隈病院に入職してまず驚いたのは、カンファレンスで検討される内容の充実度の高さです。教科書ではわずかにしか触れられていない用語や内容も多く、とにかくノートにとり、不明な点を調べたり先生方に質問したりするという日々が続きました。基本的な内容でも皆さん丁寧に説明してくださるので、とても勉強になりますし、どの先生方も本当に甲状腺診療がお好きなのだなと感じます。
私には同期の医師が4人おり、それぞれにメンターとなる指導医がいるのですが、それ以外の先生方にも気軽に質問することができます。甲状腺を究めたさまざまな先生方からそれぞれ違った視点での指導をいただけるのが嬉しいです。
診療に関して悩むこともありますが、先生方は「とにかくいつでも質問に来なさい」と言ってくださいます。最初は先生方の手を止めてしまうと思うと扉を叩くのが心苦しいと思ったこともありましたが、誰でも質問しやすい雰囲気を作ってくださっているので、疑問をすぐに解決することができ、安心して診療にあたることができます。
私自身、これまでずっと「患者さんの満足のいく医療を提供したい」という思いで日々の診療にあたってきました。そのため、ベテランの先輩医師たちの経験を自分のものにしながら、患者さんの利益のためにベストを尽くせる今のこの環境はとてもありがたいと感じています。
子育てをしながらキャリアアップを目指せるサポート体制
現在私は市外から通勤しており、時短勤務をしています。隈病院では、事情により急に勤務ができなくなるなどの状況が生じても、ほかの医師で業務を分配する協力体制が整っていますので、どの先生方も特別なことをしているという意識はなくサポートしてくださいます。これは同じ領域を専門とする医師が多く在籍し、関係者間の情報更新や共有を容易にするチーム医療を掲げている隈病院だからこそできることだと思います。私自身、家族やそのほかの事情で急に休まなければいけないこともあり助けられてばかりですが、お世話になった分、さらに貢献したいという気持ちで日々の業務に取り組んでいます。
男性女性にかかわらず、子育てへの理解がある先生やスタッフが多いので、子育てをしながら働きやすい環境だとも感じています。時には、子どもを持つ女性医師がいかにキャリアアップしていけるかを一緒に考えてくださることもあります。学会発表や論文執筆のアドバイスをくださることもあり、このような環境も隈病院で働く大きな魅力の1つといえるでしょう。
また、職員全員がこの病院をよくしようと同じ方向を向いている点も素晴らしいと感じています。外来、検査、受付、事務などの業務に関わるスタッフ一人ひとりの方が、隈病院をもっとよくするために何ができるかを日々考えておられます。実際、システムの改善などがスピーディーに進んでいて大変驚いていますし、その結果が患者さんに還元されている様子が目に見えて分かるので、さらに自分の業務に集中できていると思います。
隈病院で学べたことを強みに、ゆくゆくは長崎の甲状腺医療に貢献したい
現在、私は甲状腺がんのRI(ラジオアイソトープ)治療の不応性についての研究に参加しています。当院で治療された患者さんの治療成績のデータが相当数ありますので、それらをまとめることを課題として取り組んでいるところです。RI治療についてはすでに学会発表もしており、今は論文化を目指している段階です。
そして、隈病院で甲状腺疾患にしっかりと向き合えたという強みを軸に、ゆくゆくは長崎の甲状腺診療に少しでも貢献できればと考えています。隈病院という甲状腺専門の病院で学んだことを地元の患者さんに還元できればうれしいです。
このインタビューのドクター
内科
佐賀大学を卒業後、長崎大学病院の第一内科に入局。長崎県内の病院で主に糖尿病と内分泌疾患の診療に携わる。2023年、さらに甲状腺診療に打ち込みたいという思いで隈病院に入職。子育てと両立しながら、患者さんの満足のいく治療を目指して日々の診療に力を尽くす。また甲状腺がんのRI(ラジオアイソトープ)治療の不応性等、学術研究にも精力的に取り組んでいる。
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