インタビュー

隈病院は職種・診療科・役職の垣根を超えてお互いを高め合える場所

防衛医科大学卒業後、医師10年目で隈病院へ

私は、2010年に防衛医科大学(以下、防衛医大)を卒業後、初期研修、北海道での自衛隊部隊勤務、後期研修、自衛隊地区病院の勤務を経て、卒業後10年目の2019年4月から隈病院で内科医として入職しました。

甲状腺をさらに学ぶために

防衛医大では、在学中に自分の専攻分野を決めることになっています。私は内分泌代謝の、フィードバック機構などをロジカルに解説できる部分に面白さを感じて、内分泌代謝内科を専門に選びました。甲状腺を専門にしたのは、日常診療のなかでもよく見受けられる内分泌代謝疾患だからです。また、後期研修でお世話になった病院の恩師が甲状腺超音波診断の第一人者のひとりで、その先生に鍛えていただいた影響も大きいです。後期研修終了後、もっと甲状腺診療を深めたいと考え、また私自身が関西出身であったことから、甲状腺を専門とする病院として医師の間では名の知れている隈病院に見学を申し込みました。

診療科の垣根なく意見が飛び交うカンファレンスに衝撃を受けた

病院見学時、カンファレンスで交わされる情報の濃さと、診療科の垣根なく活発に議論がなされる様子に驚きました。カンファレンスでは内科、外科、病理、麻酔科、臨床検査、放射線科、看護師など各職種が一堂に会するということも驚きでした。正直なところ、実際に見学するまでは、隈病院に対して“恐れ多い”というイメージを持っていました。隈病院から発表された論文数は国内で第3位に入るほどの数であり、卒業後10年目程度の経験の浅い医師が入職してついていけるのだろうかと少々心配もしました。しかしこのカンファレンスを見て、ぜひ入職したいと希望したのです。

風通しがよく仕事に取り組める環境

職種にかかわらず、疑問に思ったことを何でも質問できる雰囲気で、ベテランの先生方は診療科の枠を超えて喜んで質問に答えてくださいます。また、まだ判明していない事象については「それはまだよく分かっていない」と示していただけることもありがたいです。現代の医学において未解明な臨床課題は山ほどあるわけで、そこで生じた疑問点は、次のリサーチクエスチョンにつながり、前向きに次の目標に取り組んでいくことができます。

研究内容に全力で応えてもらえる環境

隈病院では学会発表の直前に、抄録を指導医および共同演者の先生方へメールで送付し、確認していただきます。いったん抄録を送信すると、矢継ぎ早に大量に返信が届き、いずれも厳しい質問、問題の本質をつく指摘ばかりで、圧倒されるばかりでした。しかし、指摘事項に一つひとつ回答するなかで、自然とブラッシュアップされていく実感がありました。
 
現在、私は甲状腺機能検査で使用するアッセイ(甲状腺刺激ホルモンの測定法)に影響を与える干渉物質について、症例をまとめています。非常にまれではありますが、アッセイで使用する試薬や測定方法の種類によっては、検体中の干渉物質が影響を与えてFT4、FT3、TRAbが偽性高値、TSHが偽性低値を呈して、まるでバセドウ病のような検査値になることがあります。検査値に依存して漫然と診療してしまうと、症候や身体所見に合致しないにもかかわらず、偽性高値/低値に気づかずに誤診する恐れがあるため、注意喚起すべき事象として次の学会までに報告をまとめようと思っています。
 

日々の成長を実感できることがモチベーションにつながる

甲状腺の専門病院である隈病院ならではの診療ができるよう努めていますが、難しい症例で判断に迷ったり、治療に難渋したりするケースも多々あります。しかし困ったときは、ベテラン医師に何でも相談でき、どんな質問でも受け入れてくれる環境があります。入職してまだ間もないですが、多くの症例を診るなかで日々の成長を実感できています。先輩方に近づけるよう、さらなる研鑽を積んでいきたいと思います。

このインタビューのドクター

防衛医科大学校卒業後、北海道での自衛隊部隊業務を途中はさみながら、初期研修、後期研修を経て、医師10年目のときに隈病院内科に入職。2022年9月隈病院を退職。

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